ハウステンボスの「変なホテル」実現の立役者が語る、革新的な発想を生む秘訣

 

自分の人生「コピペ」で生きるな

長崎県佐世保市のハウステンボスでいま話題を呼んでいる、ロボットがメインスタッフとして働く「変なホテル」や「変なレストラン」。その実現の推進役となったのが、数々の外資系IT企業のトップを歴任し、現在ハウステンボス取締役CTO(最高技術責任者)、hapi-robo st社長を務める富田直美さんです。

子供の頃から我儘で好奇心旺盛、自分のこだわり、好きなことにはとことん取り組んできたという富田さんですが、ロボットが働くホテルやレストランなどの斬新、ユニークな発想はどのように生まれてきたのでしょうか。

富田さんはその秘訣を次のように語っています。

それははっきりしていますよ。「自分の幸せ、自分がやりたいことは何か自分で考えろ」「コピペで生きるな」ということです。

自分が何をすれば本当に幸せになれるかということは、自分しか分かりません。にもかかわらず、親や周囲の大人たちが「いい学校に入って、有名企業に入れば幸せになれる」と言うから、皆そうした人生をコピペ(コピー&ペースト)して生きているんです。

人間ですから、金持ちになれるとか、出世できるとか考えるのは仕方がない。だけど自分が何をしたいのか、何に向いているのかは、ベストプラクティスやテンプレート(雛形)じゃなく、自分の頭で考えなければいけない

私たちは往々にして周囲の意見や雰囲気に流されてしまいがちですが、富田さんは新しい発想を生み出し、道を切り開いていくためには、自分自身の幸せは何か、自分は何をしたいのかを、自分自身の頭でしっかり考えることが大事だというのです。

飽きっぽいことはいいこと

また、富田さんは多様な知識や技術を身につけ、新しい発想を生むためには一つの分野を長く学ぶよりも、自分の興味関心にまかせて、いろいろな分野を学ぶことも大事だといっています。

僕は我儘で飽きっぽいからこそ、いろんなことができるようになってきたんです。

例えば、Aという好きなことにすごく集中して取り組む。でも僕は飽きっぽいから、ある程度したら別のBという好きなことができてしまう。で、Bに飽きると今度はC、Cに飽きるとDというように、好きなことが次々変わっていくんですが、AやBにもまた興味が出てきて取り組むんですよ。

それを10年、20年と継続していけば、ABCDE……と、できることがいつの間にかたくさん溜まっているんです。すると、Aの経験が新しいFの仕事に生きてくるということが起こってくる。

実際、僕は田村電機製作所に8年勤めた後、10社以上は会社を変わっています。でも全部好きでやったので、いまも全部プロレベルのプレゼンテーションができます。

「継続は力なり」で、一つのことを続けることが大事だとよくいいますが、嫌いなことをいくら続けたって何にもなりません。

一つのことを続けることは素晴らしいことですが、嫌いなことをいつまでやっても上達しない。それよりも、自分の好きなことに思う存分取り組むほうがいい――。これも世間の常識とは異なりますが、あくまで自分の幸せ、自分の好きなことは何かを追及する富田さんの生き方に、本当の人生の幸せ、成功を掴む鍵があるように思います。

★富田直美さんの記事の読みどころ★

・変わった子供がそのまま変わった大人になった

・本当に実力が発揮できる道を選ぶ

・人を幸せにするためにテクノロジーは存在する

(本記事は『致知』最新号2018年8月号 特集「変革する」より一部抜粋したものです。11万人がご愛読!仕事や人生に役立つ体験談が満載の『致知』の詳細・ご購読はこちら

◇富田直美(とみた・なおみ)

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昭和23年静岡県生まれ。47年大学卒業後、田村電機製作所(現・サクサホールディングス)入社。その後、日本アシュトンティト、ピクチャーテルジャパンなど、多数のIT系企業の経営に携わる。平成26年ハウステンボス経営顧問兼CTO(チーフ・テクノロジカル・オフィサー:最高技術責任者)に就任し、ロボットがスタッフとして働く「変なホテル」や「変なレストラン」の運営に携わる。28年取締役&CTO。29年よりロボット事業会社hapi-robo st社長を兼務。

 

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