黒田官兵衛や西郷隆盛が愛読した書物

いまから2,200年以上前の中国に、
管仲と呼ばれる人物がいました。
JFEホールディングス特別顧問の數土文夫さんは、
管仲の言行を記した中国古典『管子』
強い関心を抱いてこられたそうです。

この本の魅力を紐解いていただきましょう。


數土 文夫(JFEホールディングス特別顧問)
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※『致知』2017年11月号
※連載「巻頭の言葉」P6
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私がこの30年来、
とりわけ強い関心を抱いてきた東洋古典の一つが『管子』です。

『管子』は、中国の春秋時代に栄えた
斉の国の宰相・管仲の言行を記した書物です。
 
管仲はいまから2,200年~2,500年前の、
孔子よりもさらに150年~180年ほど前の人で、
主君である桓公を補佐し、一介の諸侯にすぎなかった斉を
一大強国に至らしめた名宰相です。

親友の鮑叔牙との友情を表した
「管鮑の交わり」の故事でもよく知られています。
 


管仲が、自分の主君を亡ぼした桓公に仕えたいきさつや、
施政における物質優先の考え方などから、
儒家を中心に管仲を批判的に見る向きもあります。

しかし、単なる思想家ではなく、責任ある政治家として
現実の様々な問題に処していく中で
練り上げられたその考え方は刮目に値します。
 
日本でも、『管子』は広く読まれていました。
黒田官兵衛、二宮尊徳、上杉鷹山、西郷隆盛、山田方谷、渋沢栄一等、
強く影響を受けていたと思われます。
 
管仲の考え方が端的に示されているのが次の言葉です。

「倉廩実つればすなわち礼節を知り、
 衣食足ればすなわち栄辱を知る」


(倉の中の品物が豊富になってくると、
 人は初めて礼節を知る基盤ができ、
 日常生活に必要な衣食が十分足りてくると、
 初めて真の名誉、恥辱がいかにあるべきかを知る基盤ができる)

 
管仲は、一国の支配者たるものは、
まず四季を通じて生産計画を円滑に進ませ、
経済を豊かにさせるよう配慮しなければならないと説きました。

物資が豊富な国には、どんなに遠くからでも人民は集まってくる。
政治は人民の支持があって初めて成り立つものであり、
人民に手厚い豊かな社会を築くことこそが、
人心を掌握し、国に道徳をもたらす基盤ができると考えたのです。
 

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