2018年02月07日
自然食を中心とした健康運動を立ち上げ60年余。
92歳のいまも『あなたと健康』を発刊し続けながら、
「日本人の知恵」を伝えている東城百合子さんの言葉には、
たくさんの愛情がこもっています。
東城 百合子(『あなたと健康』主幹)
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※『致知』2018年3月号【最新号】
※連載「生涯現役」P110
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──改めて、いまの家庭はどんなところが問題だとお考えですか。
生活がないんです。食事にしても、いまは添加物もあるし、
チンする機械もあるし、手を抜こうと思えばいくらでも抜けます。
けれどもそのために、食べるものを通じて命を見るってことがないでしょう。
命とか心とか魂とか、そういう人間の根っこが分からない。だからお互いに挨拶もしない。
子供たちはそれを見て育つから、人を平気で殺すでしょう。
この間も、人を刺したらどうなるかと思ったといって、
見知らぬ女性を刺した少年がいましたね。生活がないと命が分からなくて、
ただの物としか見ない。恐ろしいですよ、いまの日本って。
──確かにおっしゃるとおりです。
日本人は本来、お天道様を仰いで生きてきました。
食べ物を捨てたら、お天道様が見てると言って親は愛を込めて叱れたんです。
いまはそういう教育がないから、命を見ると言われたって、何のことか分からない。
食事の時に箸を使うのは、お天道様が育てた米麦、野菜、魚や海藻など、
宇宙のエネルギーを抱き込んだ尊い食物を大切にいただくためです。
だからお天道様はただの太陽じゃない。
宇宙のすべてを育てた命の本が日本のお天道様なんですよ。
いまの人はそういうことを教わらないで、頭の勉強ばかりやって、
理屈ばかり強くなっているから、何が本当か分からないんです。
お金儲けに夢中で家のことを放っぽり投げて、
食べるものといったらその辺で買ってきたものばかり。
昔の人は旬のものを大切に調理していただいてきたけど、
いまはお腹がいっぱいになれば何だっていい。
日本はもうすっかり変わってしまったんですよ。
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