日本の統治下で、
日本人として育った台湾人の楊 素秋さん。
台湾がかつて日本の植民地であった
ことも忘れられつつある昨今。
台湾においてどのような教育を
日本が行っていたかを知ることで、
凛とした日本人の姿が
浮かび上がってくるかもしれません
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※『致知』2016年3月号P40
? ? 特集「願いに生きる」
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私は修身の時間がとても好きでした。
一週間に一回の授業でしたけど、
先生が本を読んでくれたり、
紙芝居を見せてくれたりして、
偉人伝に基づく訓話を
たくさんしてもらいました。
例えば、楠木正成、二宮金次郎、
宮本武蔵、吉田松陰、明治天皇、
野口英世、乃木希典と、
挙げればきりがないくらい。
これらの人物が
艱難辛苦を乗り越えて立派な人に
なったという話を聞くたびに、
感動してファイトが湧いてきました。
それからよく覚えているのが、
ある時担任の先生が
黒板いっぱいに
大きな字で「公」と書いて、
そのすぐそばに「私」
という字を
小さく書かれたんです。
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何を説明しようとしたのか、
お分かりになりますか?
──「私」というのを
なるべく小さくして、
「公」のために生きなさい
ということでしょうか。
そうです。これが
すなわち修身であると。
私事は小さくするのが
国民の誉れであり、
それが国家と国民のあるべき精神だ
と教えていただいたんですよ。
それからもう一つ挙げるとすれば
「教育勅語」ですね。
この中には「人間とは何ぞや」
「人間の果たすべき責任とは何であるか」
についての教えが説かれているでしょう。
?
人間の道理と学ぶべきことを
これほどまでに凝縮したものを、
後にも先にも私は見たことがありません。
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『致知』3月号のテーマは
「願いに生きる」