珠玉の小さな物語たち


Ω あなたの人間力を高める Ω
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致知出版社の「人間力メルマガ」 2016.7.18


毎号、小さな6つの珠玉の物語
をお届けする連載「致知随想」。

さて、最新号にはどんな物語が
あなたを待っているのでしょうか──

───────『今日の注目の人1』──

★ 通り過ぎない嵐はない ★

熊谷 浩典(大鍋)

※『致知』2016年8月号【最新号】
※連載「致知随想」P87

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来る、津波が来る。

かつて経験したこともない
大津波がすぐにやって来る──。

気仙沼の旅館「大鍋屋」の
長男として生まれ育ち、
湾の形状から潮の流れまで
熟知する私は、5年前の3月11日、
突如襲い掛かってきた凄まじい
地震の直後にそう直感しました。


オートバイで外出していた私は、
すぐに方向転換し、渋滞する車と
道路の亀裂を懸命にかわして
旅館に戻りました。

幸い建物は無事でしたが、
窓ガラスが粉々に散乱し、
母がそれを一所懸命掃き集めていました。

「そんなことはいいから、すぐ逃げて!」

私はそう叫ぶと、
海岸へ向かって走りました。


旅館の船が大波で転覆したり、
他の船にぶつかって
破損させてしまわないよう、
安全な場所に移さなければ
ならなかったからです。

一年前のチリ沖地震以来、
そろそろ宮城県沖にも
大きな地震が来ると言われていたため、
待避場所の目星はつけてありました。


避難警報が鳴り響き、
人々が慌ただしく
山のほうへ移動する中、
私は同じ目的で湾にやって
来た人たちと情報交換しながら
エンジンをかけ、いつでも船を
出せる準備をしました。


程なく海水が恐ろしい勢いで
沖に吸い込まれ、内湾の海底が
みるみる露出し始めました。

来たかっ!

水平線に目をやった途端、
全身に粟が生じました。



※九死に一生を得た熊谷さん。
 その一部始終と、復興に
 かける思いとは──。



───────『今日の注目の人2』──

★ 書の道に終わりなし ★

杭迫 柏樹(書家)

※『致知』2016年8月号【最新号】
※連載「致知随想」P92

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昭和9年、私は代々書を嗜む
書道一家に生まれました。

祖父母から両親、兄弟まで、
皆競うようにして書を書いていて、
私もまた小学一年頃から、
自然に書に親しみ始めたのでした。


高校進学後は、
兄や姉には負けまいと、
ますます負けん気が強くなり、
学校から帰ってくると、
大きな硯いっぱいに墨を磨っては、
なくなるまで書き続ける。


とにかく書道が楽しくて仕方がない、
そんな日々を送りました。

そして、高校三年の時に参加した
静岡県席書コンクールで県知事賞を
いただくことができたのですが、
いま振り返っても、
私の書道人生で一番楽しかったのは
この頃だったように思います。


その後、書家を志し、書道の
専攻コースが設けられていた
京都学芸大学に進学。

書道と弓道に邁進し、
卒業後は書道教師の職を得て、
京都府内の高校に
赴任することとなりました。


当時の私には、自分の目を
信じるのが芸術家だ、
という思いがあり、
日展(日本美術展覧会)のような
組織には入りたくないと、
独学を続け、個展を開く
などして活動していました。


しかし、教師になって5年ほど
経った27歳の時、書家の先輩から
次のように言われたことが、
私の人生を大きく変えて
いくことになったのです。


「君みたいな人間を
 “チンピラ”というんだ。

 本気で書を勉強したいのなら、
 日展に作品を出している
 人たちが勉強している様子を
 一度見に来るといい」

そこで、実際に見学に行ってみると、
私の前には驚くべき
光景が広がっていました。



※その驚くべき光景とは何か。
 そして、いまも書の道一筋を
 貫きとおす杭柏さんの信条とは。

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