2018年01月11日
国際情勢が緊迫化し、いま日本の進路が大きく問われています。
メディアでお馴染みの櫻井よしこさんは、
日本の課題をどのように考えられているのでしょうか。
中西輝政さんとの対談記事の一部を紹介します。
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櫻井 よしこ(ジャーナリスト)
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中西 輝政(京都大学名誉教授)
※『致知』2018年2月号【最新号】
※特集「活機応変」P20
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【櫻井】
日本にとって、いまはまさに100年、200年に一回の大変化の時だと私は感じています。
江戸末期にも幕府が機能しなくなって諸藩が台頭し、
外国から黒船がくるという一大危機がありましたが、
いまのほうがさらに大変だという強い危機感を抱いています。
幕末の日本には経済力はもちろん、
長く戦争がなかったことで武力もありませんでした。
情報は断片的なものしか入手できない。
本来なら国が食い潰されて不思議ではなかったはずですが、
そうならなかったのは、先人たちに物を見る目があったからでしょう。
黒船から開国までの15年間に日本は不平等条約を結ばされたり、
ロシアに島を奪い取られそうになったり多くの危機に直面しました。
その中で先人たちは武力、経済力の必要性に目覚め、
維新後は富国強兵策を打ち出す一方で、
『五箇条の御誓文』によって国民の結束を呼び掛け
激動の時代を乗り切っていったわけでしょう?
【中西】
おっしゃるとおりです。
当時の日本の、危機感をバネにした自己変革は素晴らしいものでした。
【櫻井】
それから150年後、いまの日本が直面しているのは、
戦後の庇護国だったアメリカが内向きになり、
片や中国は野望に満ち満ちた膨張主義の国になっているという
抜き差しならぬ国際情勢です。
その狭間で我が国が生き延びるにはどうしたらいいかを考えた時、
幕末と違って世界第3位の経済力はある、
憲法で制限されているとはいえ軍事力もないことはない、
情報もあるにはある。
でも、確実に失ってしまったものがある。
それは日本人としての気概であり、状況を直視して打つべき手を打つ現実感覚です。
悲しいことに「日本国を自分たちの手で守る」
「北朝鮮有事の際、拉致被害者は自衛隊が救出する」
のが当たり前だという感覚すらなくなってしまっているんですね。
この精神的な体たらくは極めて危険だと思います。
【中西】
私も同じことを感じています。
ただ、私の経験から言うと、いまから40年ほど前までの日本人には
まだそういう気概がありましたよ。
私がまだ最初の海外留学に出る前でしたが……
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