岐阜県にある行列の絶えないパン屋さん

飛騨高山市内に、行列の絶えないパン屋さんが
あるのをご存じでしょうか?

「パンが輝くかどうかはつくる人の人間性」
と説く、成瀬正さんのお店には、
どんなドラマがあるのでしょうか。

成瀬 正(トラン・ブルー オーナーシェフ)
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※『致知』2017年10月号
※特集「自反尽己」P40

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──岐阜県高山市に行列の絶えないパン屋さんがある
 と聞いてやってまいりました。
 ひっきりなしにお客様が来店されていて、ものすごい繁盛ぶりですね。

東京から4時間半ほど離れた田舎の小さな店にもかかわらず、
ゴールデンウィークや夏休みになると、
必ず100人以上のお客様が開店前に並んでくださっています。

多い時は行列が200人を超えることもありますし、
平日でも10人から20人くらいのお客様が待っていてくださっています。

地元の方はもちろん、わざわざ他県から何時間もかけて
車や電車で来られる方も多いですね。



──なぜこれほどまで人気があるのでしょうか。

うちは珍しい素材を使ってパンづくりをしているわけでも、
フランスで修業して帰ってきたわけでもありません。

特に変わったことはしていません。

ただ、私は決してお客様の期待を裏切ってはいけない
という強い気持ちがあり、目の前の商品が
もっとよくならないか、と常に高みを目指して
仕事に打ち込んできました。

(中略)

私はパン職人になって30数年経つんですけど、
いまだに自分が理想とするパンに
仕上がったことは一度もありません。

──一度もないのですか?

もちろん食べるとおいしいですし、商品としては合格点です。

しかし、足りないと感じたところを改善すると、
また新たな課題が見えてくる。

その繰り返しだから終わりがないんです。

店名の「トラン・ブルー」っていうのは、フランス語で
「ブルートレイン(寝台列車)」の意味です。

目的地に向かって長い距離を夜通し走り続けるブルートレインのように、
果てなきパンづくりの道をひたすらコツコツと進んでいき、
地方できらりと輝く店を目指すという願いを込めているんです。

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