女性報道記者のパイオニア・下川美奈さん

仕事論

女性報道記者のパイオニアで、
現在はニュース番組のキャスターなども務める下川美奈さん。
その下川さんに、報道記者として大切にしてきたことや
情報を入手するコツについてお話しいただきました。


下川 美奈
(日本テレビ放送網報道局社会部副部長解説委員)


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※『致知』2018年1月号【最新号】
※連載「第一線で活躍する女性」P96

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──報道記者として大切にされていることは何ですか。

例えば、ニュース会見の場などで当局の方が言えることって、
実は持っている情報の3割ほどなんですね。
その三割を基に私たちは情報を発信しているのですが、
それをただ垂れ流すのではなく、自ら取材して肉づけし、
真相に近づけた形で配信しています。

3割しか知らないで3割を伝えるのと、
全容を把握した上で3割をお伝えするのとでは
やっぱり視聴者への伝わり方も違います。

少しでも入手できる情報を百%に近づけることが
報道人としての使命であり、
ある意味記者の腕の見せ所だと思います。

──情報を入手するコツなどはありますか。

情報を持っている方も、顔の見えない人に話したくないでしょうから、
「こいつ信頼できるな」と肌で感じてもらえるような
信頼関係を築けるかだと思います。
そのためには、労を惜しまず足を運ぶ。それが基本です。



刑事の世界でも「現場百度」という言葉があって、
無駄だと思っても100回同じ現場に通うと、
全く違うものが見えてくると言われています。
それって本当に真理で、効率化や合理化も大事ですけど、
根性とか泥臭さもやっぱり必要で、
一見無駄に見えることを重ねた先に得られるものがあるのです。

──小さな積み重ねが大事だと。

そうした努力の結果、2006年、33歳の時に
全国で女性初の警視庁キャップを拝命し、
十名のチームを任せていただきました。
ただ、これには仲間の力も大きくて、互いに励まし支え合ってきたことで、
一人では挫けてしまいそうな困難も乗り越えられたと思っています。
ですので私も仲間同士のコミュニケーションや
チームワークは特に重視しています。

2009年からは社会部のデスクを拝命し、
事件だけではなく教育や医療など、
社会問題全体に幅広くアンテナを立てるようになりました。
そうしたら、その一年後に部長から
「来月から朝のニュース番組のキャスターをやってもらうことになりました」
と急にメールが来たんです。

会社側からすると、現場感がより伝えられて、
一人二役にもなるので人員的にも楽なんですね。
でも私はアナウンサーなんてやったことがなかったので……

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