人の心に明かりを灯す

感動する話


東日本大震災から丸5年。

特に甚大な被害を受けた
地域の一つ、宮城県気仙沼市で
いまも懸命に事業を営む
二人の経営者の志に胸打たれます。


────────[今日の注目の人]───

★ 人の心に明かりを灯す ★

熊谷 光良(熊谷電気社長)
   ×
菅原 昭彦(男山本店社長)

※『致知』2016年6月号【最新号】
※特集「関を越える」P18

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【熊谷】
実は、震災翌日にある夢を見たんですよ。

その日は父の家に移って、
岩手県まで食料の
買い出しに行っていたので、
疲れて夜早く寝ました。

ところが、夢を見て夜中に
目が覚めたんですね。

ちょうど震災の2年前に
ある方に言われた言葉があって、
それまでずっと忘れていたんですけど、
その言葉が夢に出てきたんです。


「震災があると停電が長く続く。
 でも町に明かりを灯さないと
 人の心にも明かりが灯らない。

 熊谷君、あんた電気工事屋だろう。
 何かあったら君の出番だからね」


【菅原】
胸に沁みる言葉ですね。


【熊谷】
その声が聞こえてきた時に、
こんなことしていられないと思って、
まだ暗いうちに知り合いの
自転車屋さんを叩き起こして、
「自転車一台寄こせ」と(笑)。

それで町中を駆け回ったら、
とにかく送電線が倒れている。


その後、市役所の災害対策本部に行って、

「大型発電機を全部押さえてほしい。
 それと全国ネットの
 リース屋さんに掛け合って、とにかく
 発電機を集められるだけ集めて、
 まず病院や火葬場などに貸し出すように。
 
 そうしたら後は電気工事組合で
 何とか配線するから」

と伝えました。


うちの社員も数名出てきてくれたので、
いろんなところへ行って最低限の
電気を生かしていったんですね。

毎日、食べ物もろくに食べられない、
家族の安否も分からない。

そういう中で社員は仕事をしていますから、
ほとほと疲れているわけですよ。


ところが、ある日私が家に帰ってきたら、
駐車場から社員の
笑い声が聞こえてきました。

どうしたんだろうと思っていたら、
社員がこう言うんですよ。


「きょう病院に行って、
 電気を生かしてきました。

 そうしたら、入院しているおじいちゃん、
 おばあちゃんが手を合わせて、
 『あんたたちは神様見てえな人たちだ』
 って言ったんです」と。


社員が自分たちの仕事に
誇りと使命感を持って、
獅子奮迅の働きをしてくれていると思うと、
込み上げてくるものがありましたね。


【菅原】
感動的なお話です。熊谷社長のように
ライフラインに関わる会社だったら……



※地域を復興させることが
 何よりの恩返しと語る
 お二人の奮闘記の続きは、
 本誌でご覧ください。