京都大学元総長・平澤興が一生で最も力を注いだこと

脳神経解剖学者として世界的な業績を残し、研究の道一筋に生きた京都大学16代総長・平澤興師。その旺盛な知的好奇心、人間探究の試み、専門の脳神経解剖学だけに留まらずあらゆる分野に及びました。平澤興師の4男5女の9人きょうだいの4男末子として生まれた平澤裕さんに、ご尊父との思い出、そして心に残る珠玉の言葉を紹介していただきました。

自分との約束を守る

(平澤) 

この辺で父の遺した言葉についても触れておきたいと思いますが、私が父の言葉で心に残っているものをまず挙げると、『平澤興一日一言』(致知出版社)の5月15日の言葉です。

「私が私の一生で最も力を注いだのは、何としても自分との約束だけは守るということでした。みずからとの約束を守り、己を欺かなければ、人生は必ずなるようになると信じて疑いませぬ」

たとえ自分でこうしようと決めたことを守らなかったとしても、他人には分かりません。咎められることもなければ、信頼を失うこともありません。しかし、他人が見ていなくても天は見ていますし、何より自分自身がそれを見ている。

自分との約束を破る人は自分に負けている人であって、それでは成長は止まってしまうということでしょうね。

ただ、単純なようで、これを徹底して実践するのはなかなか難しいものです。

次に1月31日の言葉。

「人は単に年をとるだけではいけない。どこまでも成長しなければならぬ」

私も75歳になって、気持ちが枯れそうになることもありますけど、年を取っても自分に負けてはいけない。いつまで経っても燃えて生きなければならない。そう喝を入れてもらっているんですよ。

それと、最後は9月24日に載っている次の言葉です。

「自分の力で生きているなどと、おこがましいことを考えません。毎朝、目をさましたとき生きていることの不思議さを感じ、それを喜ぶのです」

私は十数年前、父と同じで大腸がんの手術をしたんですね。そういうこともあり、この年になってつくづく思うのは、当たり前というのは実は大変ありがたいことなんだと。

たくさんの目に見えないものの働きのおかげで命がある。そういう生きる喜びと感謝を深いところで感じ、日々を営んでいくことが大切だと思っています。

(本記事は『致知』2018年6月号の鼎談記事を一部抜粋したものです。)

平澤裕(ひらさわ・ゆたか)

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昭和17年新潟県生まれ。4男5女の9人きょうだいの4男末子。4歳の時、父・平澤興の京都大学赴任に伴い、家族と共に京都へ移住する。40年同志社大学卒業後、東京の会社に勤務。アルパインツアーサービス取締役、京都国際文化専門学校理事を経て、現在に至る。

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