2017年09月14日
日本を代表するトップバレリーナ吉田都さん。
バレエ一筋42年。その耐えざる努力の日々とは──
吉田 都(バレリーナ)
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※『致知』2017年10月号
※特集「自反尽己」P66
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──吉田さんはイギリスの伝統あるバレエ団で22年間
プリンシパル(主役)を務め、現在は日本を拠点に活躍されていますね。
9歳でバレエを始めて42年、こんなに長く踊れると
思っていなかったですし、踊りたいという気持ちがあっても
体力的に難しくなってきますので、50代を迎えたいまも
こうして踊れていることは、本当にありがたいなと思います。
バレエって皆さんが想像している以上にハードで、
だいたい30代半ばで辞める方が多いんですね。
長く続けられても普通は40歳くらい。
(中略)
──普段どのような稽古を積まれているのですか。
やっぱり力を入れているのは体の維持ですね。
42年続けてきたいまでも、ちょっと油断するとすぐに
体が忘れてしまったりなまってしまうので、
内容は多少違いますけれども、子供の頃に叩き込まれた
お稽古を日々繰り返すことがとても大切なんです。
ですから、午前中は必ず基礎レッスンをしています。
ストレッチに始まって、鏡の前にあるバーに
掴まりながらポジション(型)を取って腕や脚の位置を確認したり、
回転やジャンプなどのステップを練習する。
バレエの華やかなイメージとは裏腹に、
そういう地道な基礎訓練を一時間半くらいします。
それが終わると、公演に向けてのリハーサルをしたり、
自分の弱いところの筋力強化トレーニングや治療をします。
もちろん怪我をしないためには
お休みも必要で、私はイギリス時代から
日曜日を休養に充ててきました。
一日でも休んだらどんどん戻ってしまいますから、
そのぶん月曜日が大変なことは覚悟の上で、
週に一度のお休み以外はみっちり欠かさずにやっています。
──基礎訓練を決して疎かにせず、42年間コツコツと
続けられていることに感動を禁じ得ません。
よく「飽きないの?」って聞かれるんですけれども、
飽きるどころじゃないんですね。
日々のお稽古というのはもちろん訓練や
ウォームアップの意味合いもあります。
でも、私にとっては自分の体と向き合って集中力を高めたり、
気持ちを落ち着けたりする場でもあるんです。