ある結核の少年の実話

感動する話


☆ あなたの人間力を高める ☆
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致知出版社の「人間力メルマガ」 2016.8.12


浄土真宗の僧であり、
篤志面接院の西端春枝さんは、
一燈園の三上和志さんから聞いた話が
いまでも忘れられないと言います。

病に冒され、余命幾ばくもない
ある少年の話を紹介します。

────────[今日の注目の人]───

☆ 恩を送る生き方 ☆

西端 春枝(真宗大谷派淨信寺副住職)

※『致知』2016年9月号【最新号】
※特集「恩を知り 恩に報いる」P14

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これはもう六十年以上も前の話ですが、
ある夜、お隣の佐藤さんが
一燈園の三上和志先生という
立派な方が来られるというので、
子供を連れて行ったことがあります。

分かりやすく
心に響くお話という意味でも、
その時、三上先生が
泣きながら語られた実話を少し紹介させて
いただいてよろしいでしょうか。

三上先生は警察関係の病院に招かれて
入院中の人々や職員に話をされました。

院長室に戻ると、院長がお礼を述べた後に、


「実は、余命十日の十八歳の
 卯一という少年がいます。
 不幸な環境で育ったこともあり、
 暴言を吐き、皆に嫌われています。
 しかも開放性の結核なので、
 一人隔離されて病室にいるのですが、
 せめて先ほどのようなお話を
 十分でも二十分でも
 してやってもらえませんか」


とお願いされました。
二人は少年の部屋に入ります。
院長はマスクにガウンの完全防御、
三上先生は粗末な作務衣のままです。

卯一は、院長が

「気分はどうか」

と声を掛けても

「うるせえ」

と地の底からの声を出し
相手にしようとしません。

二人が諦めて部屋を出ようとした時、
卯一と三上先生の目が合うんですね。
その目は、燃えるような人恋しい、
孤独のどん底にいる目でした。



西端氏①



先生は病気が感染することを覚悟で、
卯一を一晩看病させてほしいと頼みます。
 
三上先生は荒れ狂っていた
卯一をなだめながら、
骨と皮ばかりになった足を
さすり始めました。

やがて卯一は
自分が生まれる前に父親が逃げたこと、
母親は産後すぐに亡くなったこと、
神社で寝ては賽銭を盗んで食い繋ぐ生活を
続けてきたことなどを話し始めるんです。

そして、一晩中足をさすり続ける先生に

「おっさんの手、
 お母さんみたいやな」

と言うんですね。

そのうちに
粥を食わせてくれるよう頼みます。
生ぬるいお粥さんが
梅干しと一緒に置かれている。

幾匙か口にした後、卯一は言うんです。

「もうええ。おっさんもお腹空いたやろ。
 俺の残り食うてくれ」と。

しかし、結核患者が口にしたものです。

先生は

「一晩くらい食べなくてもいい」

「そんな言わんと食うてくれ」

「いい、いい」

「おっさん、食えや」

「私はお腹が空いていない」
 
次第に卯一の声の調子が
変わっていくんですね。

「親切そうにしているけど、
 おまえの真心はほんまか」と。

先生は長い長い合掌をして……



※三上さんと少年との
 感動的な心の交流は
 『致知』9月号でお読みください。