齋藤孝氏が子どもたちに贈るメッセージ「話がうまくなるコツ」

あの『にほんごであそぼ』の総合指導を務める、齋藤孝さんがつくった“理想の小学国語教科書”『齋藤孝のこくご教科書 小学1年生』。本書は現行の国語教科書の不足を補い、子どもたちの国語力の土台を大きくすることを目指し、制作に当たられました。本日は、本書コラムから、齋藤先生から子どもたちに贈られたメッセージをご紹介いたします。

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本をたくさん読もう

今はインターネットやスマホがあって、楽しいことはたくさんあるよね。でも、一番大切なのは本を読むということだと思う。本を読むと、人間としてしっかりしたものの考え方ができるようになるんだ。本で言葉をたくさん覚えると、知っている言葉の数が増えてくる。語彙力が高まるんだ。そして、たくさんの言葉を身につけると、物事をいろんなふうに考えることができる。考えるためには言葉が必要なんだ。

それに、本を読んでいると新しい世界がどんどん開かれていくんだよ。ドラえもんの「どこでもドア」みたいに、本を開くと新しい世界に連れて行ってもらえる。読書はそういう素晴らしいものなんだ。

僕は小学生の一年生のときから、本をたくさん読んでいた。そうしたら、すごく楽しくて、いつの間にか勉強もできるようになっていた。だからぜひ、みんなもどんどん本を読んでみよう。そして、読んだ本のタイトルをノートに記録してみるといいと思うよ。それから、どんな本だったか、お家の人や友達に話してみるのもいいね。人に話すと、あらすじを覚えるし、一度覚えるとずっと忘れないから勉強にも役に立つんだよ。

それから、小学生だからといって、絵本を読んじゃいけないということもないんだよ。素晴らしい絵本はたくさんあるからね。『はらぺこあおむし』とか『スイミー』とか、みんな好きでしょう。そういう名作絵本を読むと、心が豊かになる。優しい気持ちになったり、強い気持ちになったりするんだ。絵がついているからワクワクするし、声に出して読むと、心が耕されていろんなものの見方ができるようになってくるよ。

話がうまくなるコツ

話がうまくできるようになるには、短い時間から話す練習をしてみるといい。まずストップウォッチを用意して、15秒間で言いたいことを言ってみよう。15秒って短いようだけど、やってみると五秒で終わってしまう人もいるんだよ。それから「えーと、えーと、えーと…」と言っているうちに終わってしまう人もいる。「えーと」とか「あのー」というような無駄な言葉はなくして、てきぱきと話す練習をしよう。

たとえば、テレビでドラえもんとかサザエさんとかを見たときに、前半の話が終わったところで、「今の話はこんなだった」と15秒で内容を説明してみるといいね。練習すると、だんだんうまく話せるようになるよ。

15秒で話せるようになったら、次は30秒にチャレンジしてみよう。30秒をクリアしたら、最後は1分に挑戦してみよう。小学校1年生で1分間てきぱきと話せたら、もうそれで完璧だ。

1分間で、どんな話をしたらいいかな。たとえば、読んだばかりの本や漫画や絵本、見たばかりのテレビ番組などについて、それはどういう内容だったか、どう感じたかを話してみるといいんじゃないかな。

このとき、「面白かった」だけだと3秒で終わってしまうから、ポイントを3つ、必ず用意しておこう。「面白いポイントは3つあります。1つ目はこれ、2つ目はこれ、3つ目はこれです。どこが面白いかというと……」というように話を進めていくと、絶対に1分間話せるからね。大事なポイントを見つけることが、上手にまとめて話をするコツなんだ。だから、話しはじめる前に、これとこれとこれだけは話そうと決めておくといいね。

(本記事は『齋藤孝のこくご教科書 小学1年生』より一部を抜粋・編集したものです。

齋藤 孝(さいとう・たかし)

昭和35年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学教育学研究科博士課程を経て、現在明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション技法。著書に『国語の力がグングン伸びる1分間速音読ドリル』『子どもと声に出して読みたい「実語教」』『子どもと声に出して読みたい「童子教」』「日本人の闘い方』「渋沢栄一とフランクリン』「子どもの人間力を高める「三字経」』、川島隆太氏との共著に『素読のすすめ』(いずれも致知出版社)などがある。

齋藤孝先生が贈る「理想の国語教科書」

「一番大切な小学1年生の時期に、最高の日本語と出合ってほしい――」
そのコンセプトのもと、国語教育の第一人者である齋藤孝先生が考えた“理想の小学国語教科書”。読解力・語彙力・考える力を高め、子どもたちの心を深く耕してくれる珠玉のテキストです。「現在の小学校1年生の国語教科書は、子どもに与えるべき十分な内容になっていない」と憂慮する著者が、子どもたちの国語力の土台を大きくすることを目指して制作した“理想の国語教科書”。

『走れメロス』『星の王子さま』などの小説や、芭蕉・一茶の俳句、百人一首、『論語』『枕草子』、四字熟語・諺の語彙力アップトレーニングなど、子どもたちの国語力と人間力アップに役立つテキストを厳選。

上の学年で習う漢字もそのまま用い、読み仮名を振る。音読を奨励し、読了タイムの目標や記入欄を設けるなど、30年以上に及ぶ教育メソッドが注ぎ込まれています。

「質の高い国語を与えていくことは、大人の責務である」と著者。
小学1年生はもちろん、就学前や小学3年生くらいまでのお子様にもぜひおすすめの一冊。

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