運命の軽車に乗るか・乗らないか——祈りの詩人・坂村真民

1万本以上に及ぶ月刊『致知』の人物インタビューと、弊社書籍の中から、仕事力・人間力が身につく記事を精選した『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(藤尾秀昭・監修)。致知出版社が熱い想いを込めて贈る渾身の一書です。本書の中から、「詩に生き詩に死す」と、97歳で亡くなる最晩年まで、一日も休むことなく詩業に命を燃やし続けた詩人・坂村真民氏の記事をご紹介します。

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「先生は自分を自分で駄目にしている」

ぼくの知っている人に、特攻隊のたった一人の生き残りだっていう人がいて、その人はトランプ占いの名人ですよ。この人がふとしたことからぼくの運勢を見ようといってね。ぼくがまだ高校の教師の頃です。で、トランプを全部裏返して「この中から6枚抜き出してください」ぼくが六枚とったら、キングが全部ある。「もう6枚抜き出してください」と言われてまたとったら、今度は全部ナンバーワン。クイーンも全部とりました。

この人がうなってね、こんなトランプが出たのは初めてだ、解釈できんといって、30分くらい、いなくなったと思ったら、真っ赤な顔して帰ってきた。焼酎飲んできたんやて。焼酎の力を借りにゃ、この説明ができん、と。それで、「先生は大変いい運勢を持っているのに、おれは駄目だ駄目だと、しょっちゅう思っていますね」「そうです。私は中学に入った時も300人の中で一番小さかったし、身体的にも、自分は駄目だ駄目だと、自分に烙印を押してきた」そしたら、その人が「先生、それです。先生はいろんなチャンスがくるのに、おれは駄目だ駄目だと言うて、乗らんのや」と言った。

ぼくは「ああ、そうか」と分かったんです。ゲーテに、運命の軽車という話があるんです。 
人間には運命の軽車がしょっちゅう通っていく。それに自分は乗ったから、ワイマールの政治をあずかる大臣になって今日がある。あの時に、私があの軽車に乗らなかったら、一介のつまらん人間で終わっていたでしょう、とゲーテは書いています。ぼくはその話は非常に好きなんです。で、その人に、そうや、ぼくはいっぺんもその軽車に乗らなかったんやなあと言ったら、「そうです」と。「おれは駄目だ駄目だと言うて、運命の車が乗れ乗れと言ってるのに、乗らんのや。先生は自分を自分で駄目にしている。花の咲くつぼみを、先生は自分で踏みにじってきたんですね」と言う。

それから、ぼくは自分の考えを変えましたよ。それからは人が講演してくれと言われたら、講演にも行く。穴熊のように穴にすっこんで出ない自己であるのを、これからは少し変えよう、出ていこうと。それからはいくらか、自分を出してきたんですよ。いまでも、そうやたらには出さんですけどね。どう生き、どう死ぬか、それが一生続く、人生の公案ですね。


(本記事は『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』より一部を抜粋・編集したものです)

坂村真民(さかむら・しんみん)
20歳から短歌に精進するが、41歳で詩に転じ、個人詩誌『詩国』を発行し続けた。仏教伝道文化賞、愛媛県功労賞、熊本県近代文化功労者賞受賞。一遍上人を敬愛し、午前零時に起床して夜明けに重信川のほとりで地球に祈りを捧げる生活。そこから生まれた人生の真理、宇宙の真理を紡ぐ言葉は、弱者に寄り添い、癒しと勇気を与えるもので、老若男女幅広いファン層を持つ。著書に『自選_坂村真民詩集』『坂村真民 魂の講話 願いに生きる坂村真民箴言詩集 天を仰いで』(西澤孝一・編)『坂村真民詩集百選』(横田南嶺・選)坂村真民一日一詩』〈いずれも致知出版社〉など多数。

坂村真民先生が『致知』に寄せてくださったメッセージ

わたしは最近「千年のまなざし」とか、「宇宙のまなざし」とかの詩を書き続けているが、それはこの地球を救うには、これより外にないと思うからである。陽明学では『致知』とは、本然の良知を明らかにすることを言う。でも地球の歴史は、戦争ばかりを続けてきた。そして原子爆弾まで造り出された。つまり和を好まぬ男たちが、この母なる星地球を、どん底に落としてしまったのである。でもやっと和を好む女たちの世が、21世紀から始まろうとしている。わたしは書斎に、木花開耶媛を祭っているが、この媛を富士山頂にお祭りした、大和民族の夢と、願いと、祈りが、世界に広がりゆくのを、どうか『致知』も、応援して頂き度いのである。


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