2026年08月10日
去る2026年6月20日(土)、「第14回社内木鶏全国大会」が東京プリンスホテル(東京・芝)で開催されました。全国から集った総勢1,100名の聴衆の前で、各地で木鶏会に取り組まれている4社1校の代表者による渾身の発表に拍手喝采が沸き起こりました。
*木鶏会とは:『致知』をテキストにした勉強会。全国約1,400の企業や学校で導入されています
さて、毎回参加者の投票によって選ばれる、注目の「感動大賞」に輝いたのは、アパレル業を営む株式会社シンゾーン(東京都)。染谷裕之社長と、社員代表の廣瀬礼子さんのご発表では、迫り来る逆境や試練を、社内木鶏会を糧に乗り越えてこられた軌跡が語られました。本記事では、参加者に大きな感動を与えた、染谷社長の発表文をご紹介いたします。(本記事は月刊『致知』2026年9月号に掲載されたスピーチを転載したものです)
「役に立とう、感謝されよう、心を満たそう」
株式会社シンゾーンは今年で創業25周年を迎えました。36歳の時、いつか自分の店を持ちたいという想いを胸に独立し、2001年、46歳の時にシンゾーンを立ち上げました。創業当初から掲げてきたモットーは「役に立とう、感謝されよう、心を満たそう」です。
創立して5年ほど経った頃から、ようやく会社が軌道に乗り始めました。当時、身近に師と仰げる存在もなく、試行錯誤を重ねる中で出逢ったのが、お世話になっている方から手渡された月刊誌『致知』でした。
私が経営において最も大切にしているのは、「人づくり」です。仕事を通じてどう人間性を高めていくのか。『致知』は私が目指していきたい理念と深く重なり合い、実践へと導いてくれるかけがえのない学びの拠り所となりました。
「もっと良い会社をつくろう」「社会に必要とされる会社でありたい」。そう強く思い、「これからは人材育成に力を注ごう」と決意したまさにその矢先、大きな試練が私たちを待ち受けていました。
店づくりの中核を担っていた約20名のスタッフの中から、主力メンバー5人が突然退職。このことで、路面店の運営が困難となりました。さらに追い打ちをかけるように、売り上げのおよそ半分を占めていた主力仕入れ先2社から突然の取引中止の通告を受け、経営は悪化の一途を辿っていきました。
その後も状況は好転せず、会社売却の話が順調に進んでいた矢先、急転直下、買収は白紙に戻され、その瞬間、私は絶望を味わいました。資金繰りは限界。最後の手段として消費者金融から借り入れるという、まさに崖っぷちの状態にまで追い込まれました。重い足を引きずるように必死で日々を耐え抜いていた中、心の支えとなったのが『致知』から得た学びでした。
中でも詩人・坂村真民さんの言葉「一寸先は闇ではなく光であることを知らねばならぬ」という一節は、どんな困難な状況でも前を向いて自分にできることを一つずつやっていこうと立ち上がる勇気をもらい、杖言葉となって人生を導いてくれたのです。
それまでの私は、どこか表面的な経営に終始していたのです。「理念とは、実行してはじめて意味を持つ」と腹の底から思いました。そして、実行し続けることが〝人〟をつくり〝会社〟をつくるのだと。
それを機に、心ある多くの方々の温かい支えにより、少しずつ闇の中に光が差し込み始めました。オリジナル商品の開発に力を入れたことが奏功し、次々に大ヒットを記録。最大の希望となったのは、社員一人ひとりが会社を信じ一丸となってくれたことでした。
振り返ればあの時の逆境こそが、私に真理を気づかせてくれた恩寵であると共に、私自身の考え方や生き方を正す契機となり、『致知』の教えから人としてどうあるべきかを学びそれを実践してきたことが、確かに今日へと繋がっています。
社員と経営者が共に学び続けることが何より大切
2014年からは全社員で『致知』を購読し、社内木鶏会を本格的にスタート。しかし、当時は20代後半の女性社員が多く、『致知』の内容に馴染めず戸惑う声も多くありました。思うようにいかない日々の中でも、私が一貫して信じ続けてきたことがあります。それは自分だけではなく、社員一人ひとりの人間的成長を心から願うことでした。
木鶏会を本当に意味あるものにするためには、経営者自身が誰よりも率先して一番本気で取り組むこと、そして、社員と経営者が共に学び続けることが何より大切だと感じています。その覚悟こそが社員の心を動かしていくのだと思います。
だからこそシンゾーンでは全員参加の木鶏会を貫いています。社員一人ひとりの人間力を高め人生をより良いものにし、幸せになってほしい。その願いこそが私の経営の根幹にあるからです。
いま心から実感しているのは、仕事や人生に活かそうと真剣に考える社員が格段に増えてきたということです。時に感想文の中に、普段は見えない社員からの「小さなSOS」が隠れていることに気づくこともあります。社内木鶏会は社員一人ひとりの内面と向き合う大切な時間となり、会社にとっても大切な〝心の窓〟になっていると感じています。

昨年七十歳の古稀を迎えたいま、私の目指すところは自己を確立し人間性を高め続けること。そして、利他の心で人の役に立つ生き方を貫くことです。
現在、私たちシンゾーンが目指している明確な未来があります。それが「ファッションと福祉の架け橋になること」です。ファッションや洋服は人の心を満たし自信を与え、笑顔を生む力を持っています。
私たちはその力をもう一度見つめ直し、ファッションが生み出せる価値と社会的意義を問い直しながら、新しい会社のあり方、新しい未来をつくる挑戦を続けていきたいと考えています。
多くの方々に支えられて、いまのシンゾーンがあります。その歩みのそばには、いつも『致知』と木鶏会の学びがありました。迷った時には心の軸を正し、立ち止まりそうになった時には前へ進む勇気を与えてくれました。
私は、ファッション業界にこそ、人間力が必要だと深く感じています。どれほど素晴らしい商品をつくっても、その背景にある人の心や生き方が伴わなければ、本当に人の心を動かすことはできません。だからこそ、社員と共に人間力を磨き続けながら、一隅を照らす実践を積み重ね、ファッション業界に新たな光を灯し続けてまいります。
〔ご案内〕
現在「社内木鶏会」は全国1,400の企業、学校で導入されています。
トップの思いが伝わりやすくなった、社員が育ち、雰囲気がよくなった、などのお声が届いています。
「社内木鶏会」を詳しく知るガイドブック(無料)はこちらからお取り寄せいただけます。
◎各界一流プロフェッショナルの体験談を多数掲載、定期購読者数No.1(約11万8,000人)の総合月刊誌『致知』。人間力を高め、学び続ける習慣をお届けします。※動機詳細は「③HP・WEB chichiを見て」を選択ください











