「油断大敵ならぬ不満大敵」——大橋ボクシングジム会長・大橋秀行が掴んだ〝感謝の力〟

井上尚弥選手をはじめ5人の世界チャンピオンを輩出してきた大橋ボクシングジム。当ジムの会長であり、元世界王者の大橋秀行氏は現役時代、試合で負けが続く中、その原因が自身の心のあり方にあると気づいたといいます。氏が掴んだ心の在り方について、現役時代を振り返っていただきながら語っていただきました。対談のお相手は、メンタルトレーニングの第一人者として知られる西田文郎氏です。
(本記事は『致知』2026年4月号対談「感謝こそ最高の力なり」より一部を抜粋・編集したものです)

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油断大敵ならぬ不満大敵

<大橋>
改めて振り返ると、僕の場合、両親もそうですが、兄貴(大橋克行氏)の存在が大きかったですね。もし兄貴がいなかったら絶対にボクシングをやっていなかったと思います。

<西田>
お兄さんもプロボクサーでいらっしゃいますね。

<大橋>
はい。僕は小学生の時、勉強も運動も苦手な子供でした。運動会の曲が流れるのを聞いただけで心臓がドキドキしてずる休みするほどでした。

ところが、5つ上の兄貴からボクシングごっこ、プロレスごっこ、柔道ごっこの相手をさせられるうちにどんどん強くなりましてね。中学校では地元の柔道大会で3年連続優勝するくらい力を付けていきました。その頃からボクシングを始め、横浜高校では海藤晃先生の指導を受け、2年生でインターハイ・モスキート級を制覇したんです。

この海藤先生はたいへんなスパルタ教育で、実力のある先輩と比較しては「おまえは駄馬なんだから3倍練習しないとサラブレッドには勝てないんだよ」といつも言われ続けていました。本当に3倍練習して2年生の時にインターハイで優勝したんですけど、悔しさをバネにできたのがよかったと思います。大学を中退しプロになり、所属するヨネクラジムの米倉健司会長から「150年に一度の天才」と褒められて有頂天にならずにいられたのは、いま思うと駄馬と呼んで鍛えてくれた海藤先生の教育のおかげですね。

<西田>
大橋会長はインターハイで優勝できたものの、その後はなかなか成績が出せずに苦悶される時期が続きますね。

<大橋>
そうなんです。インターハイは翌年、連覇できませんでしたし、大学の時もオリンピック最終選考会でいつも勝っている相手に負けて出場できませんでした。「150年に一度の天才」と言われながら、ここ一番というところで負けてしまう。それで「なぜだ、なぜだ」と冷静に自己分析をしてみたら、負ける時はいつも監督やジムの会長に不満を持っていたことが分かったんです。

僕が入った頃、ヨネクラジムは10年ほどチャンピオンが出ていないこともあって、皆会長への不満を口にしていました。何でかよく分からないまま、僕も悪口を言うようになっていました。「これはよくない、無理にでも好きにならなければ自分は変わらない」と思って、いろいろなことに努めて感謝することにしたんです。

米倉会長が朝練の時間を勘違いして夜中に僕を起こしに来た時も不機嫌になるのではなく「会長、お茶目だな」って(笑)。このように感謝する習慣を身につける中で米倉会長も変わってきて、スパルタ教育を受けた海藤先生も好きになって、いつしか結果がついてくるようになりました。

「米倉会長の悪口を絶対に言わないようにしよう」と合宿所のルールをつくり、結果的に僕を含めて世界チャンピオンが2人、東洋チャンピオンが3人誕生し、16本のベルトを獲得しました。感謝を習慣化することでそれだけ変わったんです。僕自身もプロとして19勝5敗という通算成績を出すことができました。

後に西田先生と出会って、脳の働きから感謝の大切さを教えていただきましたが、先生のお言葉を借りれば、まさに油断大敵ではなく不満大敵。自分のやってきたことは間違いではなかったなと確信しました。

<西田>
僕が主宰する経営者の勉強会・西田塾に大橋会長にお越しいただき、話をしていただいたこともありましたね。この時、会長の講演を聞いた経営者の多くはその後、ビックリするくらい業績を伸ばしたんです。本気というものがどういうことか、会長に学んで奮起したのだと思います。


(本記事は『致知』2026年4月号対談「感謝こそ最高の力なり」より一部を抜粋・編集したものです)

↓ 対談内容はこちら!
◆世界チャンピオンを育てた三位一体の力
◆本当に強くなるのは「素直な負けず嫌い」
◆世の中には4種類の人がいる
◆人間の魂を動かすもの
◆油断大敵ならぬ不満大敵
◆「最強の脳」はこうしてつくられる
◆感謝・使命感は最も高次元なエネルギー
◆会って感謝を伝えることの意味
◆「怒りを敵と思え」
◆人生の試練は神様からのプレゼント

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◇西田文郎(にしだ・ふみお)
昭和24年東京都生まれ。40年代から科学的なメンタルトレーニングの研究をはじめ、「SBTスーパーブレイントレーニング」を構築。55年サンリ創業。経営者やビジネスマン、トップアスリートの能力開発指導に携わる。著書に『№1理論』『天運の法則』(共に現代書林)『強運の法則』(日本経営合理化協会)など多数。

◇大橋秀行(おおはし・ひでゆき)
昭和40年神奈川県生まれ。小学生の時、兄からボクシングの手ほどきを受け、中学生からジムに通う。高校時代にアマチュアの全日本タイトルを獲得。大学時代、ロサンゼルス五輪の代表選考試合に決勝で敗れ、プロに転向。アマ通算44勝(27KO)3敗。60年プロデビュー。その後世界タイトルに2度挑戦するも敗退。平成2年3度目の挑戦で世界チャンピオンとなり、日本人の世界挑戦連続失敗を21で止めた。6年引退。プロ戦績は24戦19勝(12KO)5敗。同年大橋ボクシングジムを開設。これまで輩出した世界チャンピオンは最多タイとなる5人に及ぶ。

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