2026年03月29日
あなたは1日何時間座っているでしょうか。長時間のデスクワーク、自宅ではネットにテレビ……現代人は1日の大半を座って過ごしています。しかし、座位時間が長い人はそうでない人と比較して病気になるリスクが高く、死亡率にまで影響していることが、近年の研究で明らかになっています。座り過ぎによる健康リスクと、身体への悪影響を減らす「こそトレ」について、早稲田大学スポーツ科学学術院教授・岡 浩一朗氏に伺いました。
(本記事は『致知』2026年3月号連載「大自然と体心」より一部を抜粋・編集したものです)
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座る時間が長くなるほど死亡リスクが上昇
あなたは1日何時間座っていますか?
世界20か国で平日の総座位時間を調査したところ、日本はサウジアラビアと並んで世界で最も座っている時間が長いことが判明しました。もっとも、日本以外の各国も総じて座位時間は長く、これは地球規模の社会課題といえます。
総座位時間と死亡率の関連について検討したオーストラリアの調査では、1日の総座位時間が4時間未満の人に対し、8時間~11時間の人は15%、11時間以上の人は40%と、座る時間が長くなるにつれ死亡リスクが高まっています。
また、同国に住む25歳以上の8,000人を対象とする調査データを基にした分析では、1時間座り続けるごとに余命が平均で22分短くなるというショッキングなデータが導き出されます。
具体的な病気のリスクについては、座位時間が短い人に比べて長い人では、心血管疾患は24%、脳卒中は16%、メタボは17%、糖尿病は10%、肥満は38%高くなります。さらに、認知症は30%、不安症は48%、うつ病は42%も発症リスクが上昇し、メンタルヘルスにおいても座りすぎの弊害は深刻です。
がんとの関係についての研究も随分進んでおり、特に結腸がん、直腸がん、乳がん、子宮内膜がん、卵巣がん、前立腺がんの罹患は、座りすぎと深く関係していることが報告されており、がん全体の死亡リスクも18%高くなることが明らかになっています。男性の私からすれば、前立腺がんは座りすぎによる血流停滞の影響をまともに受けてしまうことが感覚的にも理解できます。
1日何時間以上が座りすぎになるのかという判断はなかなか難しいところですが、世界中のデータを統合した133万人を対象とする死亡率調査のまとめの研究を見ると、1日の総座位時間が8時間を超えた辺りから死亡リスクのカーブが急上昇しています。8時間以上と8時間以下を比較した研究データも多く、カナダのように、座る時間は1日8時間以下に減らしましょうと呼びかけている国もあります。日本の2013年のデータを見ると、1日8時間以上座っている人は、男性が38%、女性が33%で、3人に1人が座りすぎに該当しています。
座りすぎによる悪影響を減らす「こそトレ」
次の動作を、できれば30分に1回、立ち上がって3分程度行います。
・その場で足踏み
・軽めのスクワット 深く行わなくても十分です。
・かかとの上げ下げ バランスを崩しそうな時は、壁や机に手を当てて行いましょう。*長時間の会議などで立つことができない場合は、椅い子すに座ったまま次の動作を行いましょう。
・足踏み
・膝を伸ばす 片脚ずつゆっくり持ち上げます。 爪先つまさきを上に向けて行うとより効果的です。
・かかとの上げ下げ 両脚を揃そろえ、爪先に体重をかけながらゆっくり行います。
(本記事は『致知』2026年3月号連載「大自然と体心」より一部を抜粋・編集したものです)
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◇岡浩一朗(おか・こういちろう)
昭和45年岡山県生まれ。平成11年早稲田大学大学院人間科学研究科博士後期課程修了、同大学人間科学部助手。日本学術振興会特別研究員(PD)、東京都老人総合研究所(現・東京都健康長寿医療センター研究所)介護予防緊急対策室主任を経て、18年早稲田大学スポーツ科学学術院准教授。24年より現職。著書に『長生きしたければ座りすぎをやめなさい』(ダイヤモンド社) 『「座りすぎ」が寿命を縮める』(大修館書店)など。









