2026年02月17日
~本記事は月刊誌『致知』2026年3月号 特集「是の処即ち是れ道場」に掲載の対談(倒れても、また歩き出せる)の取材手記です~
受け入れ難い現実にどう向き合うか
ここに幾多の試練に直面しながらも、七転八起の精神で絶望の淵から立ち上がってきた二人の経営者がいます。
日本経営を中核会社として、売上高443億円、社員数1,901名に達する日本経営ホールディングス。調剤薬局事業「サエラ」や介護事業「ウエル清光会」をはじめとした事業の多角化を図り、同社を日本を代表する会計事務所グループに育て上げた小池由久さん。
9歳で父を、16歳で母を亡くして多額の借金を負う波瀾万丈な少年時代を過ごし、28歳の時にモノづくり企業「ピーエムティー」を裸一貫で創業。同社を半導体・エレクトロニクス分野で100億円企業に迫る躍進へと導いた京谷忠幸さん。
共に度重なる苦難を乗り越え、自らの運命を力強く開いてきました。
受け入れ難い現実にどう向き合うか。お二人の実践を通して、人生・仕事の神髄が見えてきます。
月刊『致知』最新号(2026年3月号)特集「是の処即ち是れ道場」の締め括りに小池由久さんと京谷忠幸さんの対談記事が掲載されています。タイトルは「倒れても、また歩き出せる」です。
盛和塾の仲間として稲盛和夫氏の薫陶を受けた経営者が相まみえる
本企画の発端は2025年12月。京谷さんが壮絶な半生を綴った自伝『倒れても、また歩き出せる』を弊社から上梓したことがきっかけです。
どん底の逆境から這い上がり、百億円企業を目指す実業家になるまで、自分の魂を成長させていく京谷さんの足跡は、まさに今回の特集テーマ「是の処即ち是れ道場」(いま自分がいる場所、あるいは目の前に与えられた仕事や環境、それがそのまま自分を磨いていく道場である)そのもの。ぜひとも京谷さんにご登場いただきたいと考えました。
そこで、盛和塾の仲間として稲盛和夫氏の薫陶を受け、2022年12月号特集「追悼 稲盛和夫」では盛和塾生の座談会にもご一緒いただいた日本経営ホールディングスの小池由久さんとの対談が実現しました。
対談取材は12月中旬、致知出版社にて行われました。取材時間は2時間に及び、その内容を凝縮して誌面10ページの記事にまとめています。
↓対談内容はこちら!
◇人は役割に生き、感謝して死ぬ
◇9歳で父を 16歳で母を亡くす
◇残された多額の借金と無力感の先に見出した光
◇試練が気づきを与えてくれた
◇「課長止まりだ」学歴社会の壁に阻まれ
◇会社を救う一手となった事業領域の拡大
◇虐待認定、退職、不慮の事故……相次ぐ試練を乗り越えて
◇二度と自分に負けない 言い訳もしない
◇人生の方程式「考え方×熱意×能力」
◇すべての挫折は、次の挑戦への贈り物である
『致知』は人格を磨く道場
小池さんと京谷さんは共に『致知』の愛読者です。
小池さんは『致知』をテキストにした社内勉強会「社内木鶏会」を日本経営やサエラに導入されています。さらに、2022年には「全国社内木鶏経営者会」の会長に就任。忙しい合間を縫っては全国20都道府県の支部を行脚するなど、社内木鶏会の普及による組織の発展に精力的に取り組んでいらっしゃいます。
とりわけ創刊45周年を祝してお寄せいただいたコメントは忘れられません。
〈小池〉
私達は『致知』を社員の皆さんと読み、感想を書き、四人一組となって発表、話す。三人の方は真剣に聞き、美点凝視でその人の良い所に氣付くという「社内木鶏会」を毎月継続して行っています。
これも、毎月、欠かす事なくそれぞれの分野で一所懸命努力されている方の生き方を誌面を通じて届けていただいているおかげと深く感謝しています。
私達は「みんなが良くならないと社会は良くならない」を合言葉に、社内木鶏会を実施される会社が一社でも増える事が、利他業だと思い、みんなと力を合わせて取り組んで参ります。毎月届く『致知』誌に登場される方々を楽しみに心待ちにしています。これからも充実した誌面作りをよろしくお願い申し上げます。
京谷さんもまた、『致知』を長年にわたって応援してくださっています。紙幅の都合上、誌面では掲載できなかったコメントも交えて、京谷さんが『致知』の魅力について語られた内容をご紹介します。
〈京谷〉
私は大病した時に塾長がどう生きたのかを病床で一から書き出したんです。その過程で、モノや称賛は現世の執着だという人生の真理を掴んだ気がしました。じゃあ、人にとって何が大切なのかを考えたら、それは人間学であり『致知』ではないかと。これまで時務学ばかりを探求してきたと猛省しました。紆余曲折を経て、ようやくそこに辿り着いた感覚です。
『致知』には各方面でいろんなハンディを抱えながらも、人生を力強く生きてきた方々の体験談が、心の底から湧き出た言葉が紹介されています。その誌面を読む度に、自分のいたらなさを感じ、さらに精進しようと奮い立つ。だから、私は『致知』こそが人格を磨く道場そのものだと思います。
編集者冥利に尽きる思いです。お二人の言葉をさらなる原動力に換え、仕事に邁進していく決意を新たにしました。
「もう駄目だという時が仕事の始まり」
お二人の共通点は、『致知』の愛読者であることや盛和塾生として稲盛和夫さんの薫陶を受けただけでなく、何度も逆境に突き落とされながらも、その度に立ち上がってきたということです。そんなお二人が対談の中で口を揃えていたのが、受け入れがたい現実に真正面から向き合い、正々堂々と生きる大切さです。
例えば、京谷さんは9歳で父親を、16歳で母親を病で亡くすのみならず、若くして1,080万円の借金を背負い、20歳の時には手を差し伸べてくれた叔父まで亡くなってしまいます。あまりに不条理な現状に直面して自暴自棄に陥り、一時は道を踏み外しそうになる京谷さんでしたが、ある出来事をきっかけに暴力の蔓延る世界とは縁を切り、自分はどう生きるべきかを求めて、ご両親のルーツを辿ることにしました。
その詳細は本誌をお読みいただければと思いますが、ご両親のルーツを知った時、京谷さんの中で確固とした人生の指針が定まりました。
〈京谷〉
両親の友人を訪ねると、どなたも温かく迎え入れてくれるんですよ。「よく働く人だった」「人を裏切らん人だった」と両親の生前の話を聞く度に人の温かさを知り、姿は消えても魂は人の心の中に残ることを教えられました。
人様に迷惑をかけないで、真っ当な生き方をしていれば、子孫にまで伝わっていく。ならば、私は正々堂々と、素直に生きよう。男の強さは虚勢を張ることではないと思い至ったんです。
一方の小池さんは2015年、役員会の反対を押し切って始めた介護事業で逆境に直面しました。行政からの虐待認定、ネットでの誹謗中傷、相次ぐ退職、利用者の事故死……。次から次へと降りかかってくる試練にたじろぎ、倒産を覚悟したと言います。
それでも、小池さんはリーダーである自分自身の驕り、傲慢さが事態を招いたと自省し、人生・経営の師である稲盛和夫さんの言葉を心の糧に、一から従業員と向き合っていきました。
〈小池〉
このどん底の時に力になったのが、「もう駄目だという時が仕事の始まり」という稲盛塾長の言葉です。大勢が去った一方で、会社の未来を信じて残ってくれた従業員もいる。彼らが残ってよかったと誇れる結果をつくろうと、自分自身を奮い立たせたんです。
厳しい現実から目を逸らさない、逃げないということが経営者にとっていかに欠かせないかを身を以て学びました。
もう駄目だという時が仕事の始まり、厳しい現実から目を逸らさない。目の前の試練を受け止め、自らの魂を向上させるヒントがここにあります。
最後に、お二人のお話の中でとりわけ心に響いた言葉を紹介します。
〈小池〉
経営者の近視眼が悲劇を招くという言葉があるように、目先の利益にばかり目が眩んでしまうと、やがて失脚していきます。ですから、愛と誠と調和を入れた誰にも負けない努力が肝要なんです
〈京谷〉
倒れても、倒れても、また歩き出せる。そしてすべての挑戦は、次の挑戦への贈り物である。これが、苦しい境遇から這い上がってきた私の心からの実感です
ここには到底紹介しきれない、小池さんと京谷さんが困難に立ち向かう過程で掴んだ「人生と仕事の神髄」はぜひ本誌の対談記事をお読みください。
『致知』2026年3月号 特集「是の処 即ち是れ道場」ラインナップはこちら
◎各界一流プロフェッショナルの体験談を多数掲載、定期購読者数No.1(約11万8,000人)の総合月刊誌『致知』。人間力を高め、学び続ける習慣をお届けします。※動機詳細は「③HP・WEB chichiを見て」を選択ください









