2025年04月07日
栃木県内に商圏を絞り、「地域一番化戦略」で圧倒的シェアを誇るサトーカメラ。同社副社長の佐藤勝人さんはビジネス書作家として12作目を出し、商業経営コンサルタント、Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」と情報発信を含め、全国各地の商工会議所で講演やセミナー、さらに企業や商店の現場へ出向いて個別支援をし、経営者育成塾「勝人塾」も主宰されています。
本連載ではそんな佐藤さんに、現代ビジネスマンから寄せられた悩みや胸の内の葛藤、さらには社会情勢までも「勝人節」でズバッと答えていただきます。
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修養=人間力
日本人の素晴らしいところは、仕事を人生や生活の中心にしたところだと思っている。 仕事を通して自身の役割を全うし、社会に役立つ人間形成、その中心に「修養」を作ったところが素晴らしい世界観だと。私みたいに学生時代に遊んでばかりいた「勉強ダメ、運動ダメ、芸術ダメ」という3D(3ダメ)人間が社会に出てからどうするの? って話さ。
それでも人生を立て直し社会に貢献するチャンスをくれたのが、日本社会の秩序であり仕事の在り方だった。社会に出てから学生時代の過ちを悔い、もう一度やり直したい。しかし、何の能力もない。そんな3D人間に光を射してくれたのが、「1万時間の法則」だった。特定分野でプロレベルに達するには、約1万時間を積み重ねることで感性が磨かれ、見えてくる世界が変わるというのだ。
最初は何それ? と思ったよ。能力って持って生まれたものではなく、費やした時間なのか? ってね。だが、それを知って救われたわけさ。「石の上にも3年」。プロレベルに達するには自分で働きたいと言えばいくらでも働かせてくれた時代から、今の働き方改革に従えば、プロレベルになる1万時間には6年も掛かる。「石の上にも6年」という時代になってしまったということだ。
もちろん、40年働いた時代の総労働時間を60年に引き伸ばし、ゆとりを持たせ、細く、長くしただけに過ぎないんだけどね。それでも時流は変わる。昔の時流は12年サイクルだったから、3年鍛え上げれば9年は使えた能力も、デジタル化によって時流が6年サイクルと短くなっている。だから、一つの能力を6年掛けて身に着けているときには、時流は変わってしまっているのだ。
見方を変えれば、働き方改革とは「3D人間」にとって仕事で人生を変えることは難しくなってきた時代とも言える。ということは、日本国民総ハードワーク時代から一部のハードワークを付加することができる人間だけが大成する時代へと変わってきたということだ。
要は、仕事を通して人生を豊かにするという「修養=人間力」は永遠に変わらない。それは世界一の大谷翔平選手が教えてくれている。彼の活躍を観ていると、あれほどの才能ある人間がストイックにハードワークを付加し、世界中に「修養」を体現してくれている啓蒙者だと私は思っている。ならば私たち「3D人間」も、自らを社内一、町内一、市内一、県内一と。ストイックに律してハードワークを付加し、「修養」の体現者として地域社会の次世代に啓蒙していきたい。 Don’t miss it
◇佐藤勝人(さとう・かつひと)
サトーカメラ代表取締役副社長。日本販売促進研究所.商業経営コンサルタント。想道美留(上海)有限公司チーフコンサルタント。作新学院大学客員教授。宇都宮メディア.アーツ専門学校特別講師。商業経営者育成「勝人塾」塾長。(公式サイト)
栃木県宇都宮市生まれ。1988年、23歳で家業のカメラ店を地域密着型のカメラ写真専門店に業態転換し社員ゼロから兄弟でスタート。「想い出をキレイに一生残すために」という企業理念のもと、栃木県エリアに絞り込み専門分野に集中特化することで独自の経営スタイルを確立しながら自身4度目となるビジネスモデルの変革に挑戦中。栃木県民のカメラ・レンズ年間消費量を全国平均の3倍以上に押し上げ圧倒的1位を獲得(総務省調べ)。2015年キヤノン中国と業務提携しサトーカメラ宇都宮本店をモデルにしたアジア№1の上海ショールームを開設。中国のカメラ業界のコンサルティングにも携わっている。また商業経営コンサルタントとしても全国15ヶ所で経営者育成塾「勝人塾」を主宰。実務家歴39年目にして商業経営コンサルタント歴22年目と二足の草鞋を履き続ける実践的育成法で唯一無二の指導者となる。年商1000万〜1兆円企業と支援先は広がり、規模・業態・業種・業界を問わず、あらゆる企業から評価を得ている。最新刊に『地域密着店がリアル×ネットで全国繁盛店になる方法』(同文館出版)がある。Youtube公式チャンネル「サトーカメラch」「佐藤勝人」でも情報発信中。
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