2024年12月18日
様々な事情から家庭にも学校にも居場所のないこどもたちに、「にしなり☆こども食堂」を通じて支援の手を差し伸べ続けてきた川辺康子さん。心に様々な傷を負った子を見つめるその笑顔の奥には、どんな願いが秘められているでしょうか。「にしなり☆こども食堂」に懸ける想いを語っていただきました。 ◎今年、仕事でも人生でも絶対に飛躍したいあなたへ――
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こどもたちの「居場所」をつくりたい
——川辺さんは、大阪市の西成区で「こども食堂」の運営などの支援活動をなさっているそうですね。
<川辺>
はい。しんどさを抱えたこどもたちが安心して過ごせる「居場所」をつくりたい、という思いから活動を始めました。
こどもたちと関わるようになったのは、2006年に西成児童館の職員になってからでした。そこで一人、お昼休みになっても家に帰らない男の子がいて、事情を聞くと、「親がご飯をつくってくれない」って言いました。
彼の寂しそうな目は、その後何年経っても頭から離れませんでした。そういう子を、何とか皆で支え合うことはできないだろうか。その思いがいまの活動に繋つながっています。
——いまは「西成チャイルド・ケア・センター」の代表理事を務めておられますが、具体的なご活動内容を教えてください。
<川辺>
いろいろありますが、毎週月、火に「にしなり☆こども食堂」をやっていて、多い時には、150人くらいのこどもたちに食事を無償で提供しています。
「こども食堂」というと、貧困家庭に食事を提供するというイメージがあるかもしれませんけど、ここに来るこどもの中には、一人ぼっちで声を出せずにいたり、愛着に問題を抱えていたり、いろんな背景を持っている子もいます。
そんなこどもたちが、あったかいごはんを食べてホッとしながら、人との関わりの中で成長していける場であってほしいと願って運営しています。
——あぁ、こどもたちにあったかいご飯を食べてホッとしてもらいたいと。
<川辺>
水曜日は、学校に行きたくても行けていないこどもと、そのお母さん、学校の先生に来てもらって、みんなでごはんを食べながらゆっくりお話をしています。
「学校においで」と言われても、誰とも繋がりがなければ行きづらいじゃないですか。せめて先生と関係性が築けていたら、不安も少しはなくなり、学校にも行きやすくなると思うんです。
それ以外の曜日もお弁当をつくって、特にしんどいご家庭にお届けしていて、そこのお母さんの相談に乗ったりして、一緒に伴走しながら困り事の解決に協力しています。
——経済的な負担も相当大きいのではありませんか。
<川辺>
最初の3、4年くらいは自分のお金を持ち出しながら活動していましたね。
でも、だんだんお財布事情も逼迫してきたのでホームページなどで発信を始めたら、企業様や個人の方からたくさんのご協力をいただけるようになりました。
おかげさまでいまは寄付だけで何とかやっていけていますし、サラリーマンの方や、大学生、様々な団体の方など、たくさんのボランティアの方が調理やこどもの話し相手、遊び、後片づけなどで支えてくださっているんです。
(本記事は月刊『致知』2024年12月号 特集「生き方のヒント」より一部を抜粋・編集したものです)
↓ インタビュー内容はこちら!
◆こどもたちの「居場所」をつくりたい
◆何でもない関わりを大切にし続けて
◆悪態をつくこどもたちが「助けて!」と叫んでいる
◆「一人で寝てる俺の気持ちが分かるんか!」
◆私の普通とこどもたちの普通は違う
◆こどもを支えるには親も支えなければならない
◇川辺康子(かわべ・やすこ)
昭和41年大阪府生まれ。西成区で子育て支援員や日本語教室のコーディネーターを経て、平成22年こどもの居場所「あそびの広場」を開設。24年「にしなり☆こども食堂」を開催開始。28年「こども食堂ネットワーク関西」を立ち上げ、代表に就任。現在、西成チャイルド・ケア・センター代表理事として、問題を抱えた親子への様々な支援活動を行っている。