侍ジャパン前監督の栗山英樹氏が推薦! 『小さな幸福論』が教える「人生の大事」

『致知』の特集テーマを概括する総リードを編集してまとめた『小さな人生論』『小さな修養論』シリーズ。『小さな幸福論』は、『致知』創刊45周年を記念して発刊される新シリーズの第1巻です。2021年8月号から2023年8月号まで約2年分の総リードを収録。まえがきは、同シリーズを愛読されてきた侍ジャパン前監督の栗山英樹氏が綴っています。本書から、「人生の大事」という章をご紹介いたします。

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人生、一誠(いっせい)に帰(き)す

弊社主催の「徳望塾」で柴田和子さんのお話を伺った。柴田さんは昭和13年生まれで83歳。第一生命の保険セールスウーマンとして30年連続日本一の営業成績を上げた人である。生保業界では年間1億円の保険契約成績を上げれば優秀とされる中、ピーク時の柴田さんは444億円の契約実績を上げたこともある。
まさに伝説の人である。
幼少期の柴田さんは父親が事業を営んでいて、裕福な暮らしだった。だが、九歳の時に父親が死亡、生活は一変する。赤貧洗うが如き日々の中で母親がいつも言っていた言葉がある。

一つは「和子ちゃん、お天道さまはいつも見ているよ」。天はいつも見ているから、天に恥じるようなことをしてはいけない、誠実に生きなさい、ということである。もう一つは「和子ちゃん、できる親切はいつでもするのよ」。この二つの教えを柴田さんは幼いころから健気に実行してきた。その長年の積み重ねが柴田さんの人間力、徳力となって多くの人を惹き付けたのだろう。素晴らしい営業成績はその結果に他ならない。柴田さんのお話を伺って、そう感じた。
そう言えば、柴田さんのお母さんは明治40年の生まれだというが、柴田さんの母親だけに限らない、明治に生を享けた人は濃淡はあれ、等しく天というものを意識して行動していたように思える。
一代で日本ガイシやノリタケ、TOTOなどの母体を築いた森村財閥の森村市左衛門。この人の信条は、「天に神あり。地に心あり。人生、誠を以(もっ)て貫く」である。そして「正直、親切、勤勉」を日常生活の規範にしていたという。

日露戦争を勝利に導いた東郷平八郎にも、次のような言葉がある。
「天は必ず正義に与し、神は必ず至誠(しせい)に感ず」
「終局の勝利は必ず誠実な者に帰す」
至誠、誠実を東郷がいかに大事にしていたうかがえる。
西郷隆盛もまた、至誠を重んじた人である。その言葉。

「人を相手にせず、天を相手にせよ。天を相手にして己を尽くし、人を咎(とが)めず、我が誠の足らざるを尋(たず)ぬべし」

事業を成すに当たっての大事な心構えを説いている。人を相手にするのではなく天を相手にし、その天に対して真心の限りを尽くし、仮に失敗に終わっても人のせいにして咎めたりせず、自分の真心が足りなかったのではないかと自省せよ、というのである。襟を正さしめずにはおかない言葉である。
明治という時代が際立つのは、武士などの一部に限らず庶民に至るまで、国民一人ひとりが天に対して誠を貫いて生きようという意識を共有していたからではないか、と思われるがどうだろう。
最後に、明治天皇の侍講を務めた元田永孚の言葉を紹介する。
明治天皇が初めて東京帝国大学に行幸、授業を見学され、理系の学問は充実しているが、最も重要な人間修養の学問が乏しいことを憂えられた。これを受け、元田は井上毅と協力して「教育勅語」を作り、国民教育の規範とした。その人にこういう七言絶句がある。

勇力の男児は勇力に斃(たお)れ/文明の才子は文明に酔う/君に勧(すす)む須(すべから)く中庸(ちゅうよう)を択(えら)び去るべし/天下の万機は一誠に帰す

力の強さを誇る人は力に倒れ、知識や技術に優れた人はそのことに溺れてしまう。人はやはり中庸を選ぶことが大事であり、人生、どんな時でも誠を尽くすことほど大事なことはない、の意だろう。 本号(2022年1月号)はこの元田の言葉に倣ってテーマとした。『致知』43年、これまで取材させていただいた先達の言葉を集約すると、「人生、一誠に帰す」に凝縮されるのである。

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◇藤尾秀昭(ふじお・ひであき)
昭和53 年の創刊以来、月刊誌『致知』の編集に携わる。54年に編集長に就任。平成4 年に致知出版社代表取締役社長に就任。現在、代表取締役社長兼主幹。『致知』は「人間学」
をテーマに一貫した編集方針を貫いてきた雑誌で、令和5 年、創刊45 年を迎えた。有名無名を問わず、「一隅を照らす人々」に照準をあてた編集は、オンリーワンの雑誌として注目を集めている。主な著書に『小さな人生論1 ~ 5』『小さな修養論1~ 5』『小さな経営論』『心に響く小さな5 つの物語Ⅰ~Ⅲ』『プロの条件』『安岡正篤 心に残る言葉』『ポケット名言集「小さな人生論」』『人生の大則』『長の十訓』『生き方のセオリー』などがある。

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