2024年10月19日
世界のホームラン王・王貞治氏、84歳。現役時代に打ち立てた868本の本塁打数は、いまだ破られていない世界記録として輝いています。王氏はどのような特訓を経て、〝世界の王〟に至ったのか。868本のうち最も忘れられない1本、逆境に処する心得をお話しいただきました。※対談のお相手は、和食の神様・道場六三郎氏です。
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逆境とはより高い頂に到達するための跳躍台
<道場>
王さんが現役時代に打ち立てた通算868本のホームランは半世紀近く経ついまも世界記録として輝いています。
これはすごいことだと思いますが、その中で最も忘れられない一本を挙げるとすれば何ですか?
<王>
そうですね。ファンの皆さんと思いを一つにして打ったという点で、やっぱりハンク・アーロン選手の持つメジャー記録を上回る756号が私としても忘れられないですね。
昭和52(1977)年9月3日、プロ19年目を迎えた37歳の時でした。
<道場>
4年目にホームラン王になってから世界新記録を達成するまでの間、逆境やスランプはありましたか?
<王>
一本足打法を確立してからは大きな逆境はなかったんですが、荒川さんのもとで9年間指導を受けてきて、荒川さんが昭和45年にジャイアンツのコーチを離れて私一人で練習するようになった後、急にパタッと打てなくなった時期がありました。
シーズンの後半から翌年の夏までずっと調子が悪かったんです。
いま振り返って考えると、やっぱり荒川さんに依存していたんですね。
調子が悪くなっても、荒川さんが直してくれるという甘えがあった。調子が悪くなった時のスランプの脱し方を自分で掴んでいなかったんです。
そうすると堂々巡りになってしまい、結局荒川さんが抜けられた最初の年はホームラン王になったものの、それまで続いていたシーズン40本には届かず、鼻っ柱をへし折られたような感覚でした。
翌年も一所懸命やったんですけど、夏までは調子が一向に上がらなかったんです。
もがいて、もがいて、もがき抜いたところ、1年くらい経った時に少し手応えを感じて明るい光が見えてきました。
そこからいままで成し得なかった三冠王を2回獲得することができたんです。
ですから、逆境は次のステップに進むために必要不可欠な跳躍台であって、そこで苦労し逃げずに乗り越えようと努力していけば、いままでよりも高いところに到達できるのだと教えられました。
<道場>
逆境や試練に直面した時に決してへこたれてはいけないと。
<王>
はい。私の場合は野球しかありませんでしたから、逃げ道がなかったおかげで、道を踏み外さずにやってこられたと思います。
(本記事は月刊『致知』2024年10月号 対談「この道より我を生かす道なしこの道を歩く」より一部抜粋・編集したものです)
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料理と野球――ここにそれぞれの道を一筋に歩み続けてきた二人の超一流プロがいます。和食の神様・道場六三郎氏、93歳と世界のホームラン王・王貞治氏、84歳。若い頃から心技体を錬磨して並外れた実績を上げ、高めた自分で以て後進を導きながらいまなお第一線で活躍し、業界のレジェンドとして存在感を放ちます。その生き方はまさに「この道より我を生かす道なし この道を歩く」そのものでしょう。共に長年の『致知』愛読者でもある二人の人間学談義から「人はいかにして大成するか」「勝負を制する要諦」「逆境に処する心得」を学びます。
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▼小細工はしない 正々堂々と勝負する
▼見られている意識を常に持つ
▼結果ではなく過程を自らに厳しく問う
▼健康の秘訣は小さな勇気で一歩踏み出す
▼今日まで第一線で活躍し続けられている理由
▼〝世界のホームラン王〟はかくして生まれた
▼〝和食の神様〟が大切にしている原点
▼勝敗を分けるのは無心になれるか否か
▼逆境とはより高い頂に到達するための跳躍台
▼強いチームをつくるために監督として大切な心得
▼この道一筋に歩む中で掴んだ「人生で一番大事なもの」
◎王さんも、弊誌『致知』をご愛読いただいています。創刊46周年を祝しお寄せいただいた推薦コメントはこちら↓↓◎
『致知』と出逢ってもう二十年になる。
現状に満足せず、人の生き方に学びながら、自分を高める――。これは私が野球選手として、また監督として、常に心懸け実践に努めてきた姿勢であり、『致知』を読み続ける中で、毎月教えられていることでもある。
人は時代の波に振り回されやすいものだが、『致知』は一貫して「人間とはかくあるべきだ」ということを説き諭してくれる。本当に世の中に必要な本だと思う。
◇王 貞治(おう・さだはる)
昭和15年東京都生まれ。34年早稲田実業高等学校卒業後、読売ジャイアンツに入団。48、49年三冠王。52年通算本塁打756本の世界記録を達成し、初の国民栄誉賞を受賞。55年通算本塁打868本の世界記録を最後に現役生活を終える。59~63年読売巨人軍監督。平成7年福岡ダイエーホークス(現・福岡ソフトバンクホークス)監督就任。20年退任。令和2年現在、福岡ソフトバンクホークス会長。
◇道場 六三郎(みちば・ろくさぶろう)
昭和6年石川県生まれ。25年単身上京し、銀座の日本料理店「くろかべ」で料理人としての第一歩を踏み出す。その後、神戸「六甲花壇」、金沢「白雲楼」でそれぞれ修業を重ね、34年「赤坂常盤家」でチーフとなる。46年銀座「ろくさん亭」を開店。平成5年より放送を開始したフジテレビ『料理の鉄人』では、初代「和の鉄人」として27勝3敗1引き分けの輝かしい成績を収める。17年厚生労働省より卓越技能賞「現代の名工」受賞。19年旭日小綬章受章。著書に『91歳。一歩一歩、また一歩。必ず頂上に辿り着く』(KADOKAWA)など多数。
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