斎藤一人さん(銀座まるかん創業者)が「最低7回は読みな」と薦めた本——渡部昇一『人生を創る言葉』

「スリムドカン」でおなじみの銀座まるかん創業者・斎藤一人さんは、『斎藤一人商人道』(尾形幸弘・著/PHP研究所)の中で、渡部昇一著『人生を創る言葉』について以下のように語っています。

「この本には、エラい人たちの話がいっぱい載ってるんだ。『成功者といわれる人たちは、こういう考えでやってたんだな』というのが、わかればいい。どんな心がまえでもって、仕事に向かっていったか。そこが重要なんだよ。そこがわかれば、一つの、成功のセオリーみたいなのがわかってくる。(中略)ま、次、東京にくるまで、最低7回は読みな。本の内容が自分のものになるからね」

本書は古今東西の偉人・英傑・大成功者の足跡を辿りながら、彼らが残した名言にスポットライトを当て、渡部先生が独自の解説を加えるもので、偉人たちの94の成功哲学が学べる知恵の宝庫と呼べる1冊です。今回はその中からアメリカの実業家・カーネギーの言葉の一節を紹介します。

※【カーネギー(1835~1919年)】

アメリカの大実業家。少年工から身を起こして世界の鋼鉄王となる。晩年は財産をことごとく公共事業に寄付して、慈善王と呼ばれた。

職業は何でもいい、ただ第一人者たるを心掛けよ

一人の新聞記者がカーネギーを訪ねてきて、こう頼んだ。
「青年のために、何か成功の秘訣というものをお話しください」

するとカーネギーは即座にこう答えた。
「よろしい。成功の第一の秘訣は、貧乏人の子供に生まれることだ」

新聞記者がびっくりして、
「へえ、貧乏人の子供にですか」
と聞き返すと、「そうだ。私はそう信じている。私は食うや食わずの貧乏人の子供に生まれた。毎晩、両親が暗い灯火のもとで、生活の苦しみをかこっているのを聞いたとき、私の胸の中に奮発心が湧き起こったのだ。今に見ろ! お父さんやお母さんをこんなに苦しめている貧乏というやつを見事退治して見せるから、とね。今日の私があるのは、これがためだ」

「よくわかりました。そして第二は?」
新聞記者がそう聞くと、カーネギーは答えた。

「第二は、どんな仕事でもいいから、絶えずその第一人者となることを心掛けることだ」

「なるほど」
と頷くと、カーネギーはこう言った。

「私は最初、12歳のときに紡績工場の糸巻き小僧に雇われた。そのとき私が決心したのは、よし、世界一の糸巻き小僧になってやれ、ということだった。
そして一生懸命に働いた。その働きが認められたと見えて、こんな子供にいつまでも糸巻き小僧をさせておくのは惜しいというので、今度は郵便配達員に雇われたのだ。

そのときも自分はこう決心した。
世界一の郵便配達員になってやろう、とね。

そして一生懸命に一軒一軒の家と番地と名前を暗記した。しまいには、町中のどんな小さな小路でも、私の知らない家は一軒もなくなった。

無駄な努力という人もいるかもしれないが、それが認められて、今度は電信技手にあげられた。

以来だんだんと同じやり方で、ついに今日の地位を築いたのだよ」

今、目の前にある仕事を一生懸命に勤めることによって、今より高い地位が与えられる。成功者はそうやって少しずつ階段を上がっていって、いつの間にか揺るぎないポストに就いているものである。

「いいポストがあったら勤めよう」という考え方では、決して自分の望む仕事はできないし、思い通りの人生は送れない。

カーネギーの言葉は、そのことを教えてくれている。


(本記事は『人生を創る言葉』の「第六章 成功の秘訣」の一篇を修正したものです)

◇渡部昇一(わたなべ・しょういち)
昭和5年山形県生まれ。30年上智大学文学部大学院修士課程修了。ドイツ・ミュンスター大学、イギリス・オックスフォード大学留学。Dr.phil.,Dr.phil.h.c.平成13年から上智大学名誉教授。専門の英語学だけでなく、歴史、哲学、人生論など幅広い評論活動は多くの人に支持され、今日なお影響を与え続けている。平成29年4月逝去。
著書は専門書のほかに『一冊まるごと渡部昇一』『忘れてはならない日本の偉人たち』『渡部昇一 一日一言』『四書五経一日一言』『歴史に学ぶリーダーの研究』『伊藤仁斎「童子門」に学ぶ』『渡部昇一の少年日本史』、共著に『子々孫々に語り継ぎたい日本の歴史1・2』『生き方の流儀』『国家の実力』『歴史の遺訓に学ぶ』(いずれも致知出版社)などがある。

 

『人生を創る言葉』
 渡部昇一・著 定価=1,600円+税

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