2024年10月10日
アサヒビールを中核会社として、飲料・食品で多種多様なブランドを展開するアサヒグループホールディングス。2016年から同社の舵取り役を担い、卓越したリーダーシップで過去最高の売上高へと導いたのが、小路明善氏です。小路氏の原点にあるもの、それは若き日に与えられた持ち場で積み重ねた努力に他なりません。アサヒビールで過ごした自身の20代と共に、20代を生きる上で大切な心構えを伺いました。
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ビジネス人生、終わった瞬間
私のビジネス人生には「終わったな」という瞬間がいくつかあります。
その最たる例が、2年目の春に命じられた仙台支店への転勤です。入社1年で異動するケースは珍しく、同期でも私一人だけ。
東京支店では人並み以上の成績を上げてきたのに、縁もゆかりもない東北への異動です。納得がいかずに上司を問い詰めましたが、「分からない」の一点張りでした。
ああ、私は会社に見捨てられたんだ。壮行会を終え、一人仙台に向かう夜行列車で抱いた将来への不安は生涯忘れられません。このまま勤めても、地方を転々として終わるのではないか。煩悶に煩悶を重ねました。しかし、辞めるという選択には至りませんでした。
私は常々、与えられた環境から嫌々逃げ出してはいけないと考えていました。
ご縁を感じて入社した以上、骨を埋める覚悟で打ち込もう。そう決意を固め、目の前の仕事に向き合っていったのです。
東北6県を受け持つ仙台支店では、最初の2年は岩手、1年半は福島を担当しました。
毎週月曜日は内勤、火曜日には列車で岩手に向かい、土曜日まで問屋や小売店を回る。そして夕方の特急で仙台に戻るという休む暇もない毎日です。疲労のあまり駅の待合室で寝込んでしまい、日曜日の始発列車で戻ったことも数え切れません。
東京を恋しく思うこともありましたが、東北中を駆け巡った経験は確かな自信に繋がりました。加えて、問屋の皆さんに可愛がっていただき、ご自宅に泊めていただくなど大変お世話になりました。温かい人情を身を以て知ることができたのは、代え難い財産です。
昨今、入社数年で辞めるケースが増えています。
自分の可能性に挑戦したいといった能動的な転職は賛成しますが、いまの環境が苦しいという理由なら、隣の芝生に移るのはおすすめしません。
たとえ望まない仕事だったとしても、骨を埋めると覚悟を決めれば、面白さや改善策が見えてくるものです。それらに死に物狂いでのめり込むことが、自分を信じるよすがになるのではないでしょうか。
(本記事は月刊『致知』2024年10月号 連載「二十代をどう生きるか」より一部抜粋・編集したものです)
~本記事の内容~
◇迷い抜き、悩み抜いた20代
◇成果=能力×努力+外的要因
◇「声なき声を聞いてくれ」
◇非凡な努力を積み重ねる
本記事では全3ページにわたって、小路氏の若かりし歩みを振り返っていただきました。目の前の仕事に一所懸命立ち向かってきた小路氏の足跡には、あらゆる年代に通ずる仕事・人生の要諦が凝縮されています。【詳細・購読は下記バナーをクリック↓】
◇ 小路明善(こうじ・あきよし)
昭和26年長野県生まれ。50年アサヒビール入社。東京支社特約店営業部長などを経て、平成13年執行役員として経営戦略、人事戦略等を担当。23年アサヒビール社長に就任。28年アサヒグループホールディングス社長を経て、令和3年より現職。
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