「結果を出せるのは結果を決めているから」——井村雅代氏が語る勝利への秘訣 井村雅代×乾友紀子

2023年7月、福岡で開催された世界水泳選手権にて、日本アーティスティックスイミングのソロ種目で2個の金メダルを獲得し、2大会連続2冠の偉業を成し遂げた乾友紀子さんと、その専属コーチとして指導に当たった〝メダル請負人〟の異名を取る井村雅代さん。東京五輪での悔しさを糧に歩んできた二人三脚の日々を振り返っていただきながら、勝利する者の条件について語り合って頂きました。

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結果を出せるのは結果を決めているから

<本誌>
世界選手権2連覇を果たすことができた勝因はどこにあると感じていますか?

<乾>
今年、大きなルール改正があって採点方法が変わったんですね。

事前に演技予定表を提出し、フィギュアスケートのように技ごとに難易度が決められていて、申請した技が実際の演技で認められないと大きく減点されるとか。

<井村>
各国の序列や審判員の裁量に関係なく、採点が可視化されて分かりやすくなったんです。

<乾>
自分の理想の演技を追求することよりも、やっぱり勝ちにこだわって、出場するからには優勝したいので、勝つためにどうやってこのルールを攻略するかということに1年の時間をすべて使って、本当に四六時中、このルールで戦っていくことを誰よりも考えてきたと自負しています。

<井村>
例えば、足技ごとに角度が規定されているので、見た目ではなく、実際に私が分度器で測ったりしながら、隈なく細部にこだわって練習していきました。

<乾>
その結果、直近のW杯3大会と世界選手権では出場選手の中で唯一、減点がなかったので、そこに対するこだわりの強さが優勝に繋つながったと思います。

<井村>
私自身、彼女のソロコーチを務める時、絶対に世界一にしてやろうと決めていました。

やるからには世界一、乾友紀子を世界一にするためには、ということしか東京五輪以降は考えていません。

私はよく「結果を出せるのは結果を決めているから」と言っていますが、まず結果を明確に決める。そのために具体的に何をするか、目標と計画を示す。

遅れている時は何が何でもやると決め、できるまでやり続ける。

この考え方がとても大事です。

世界一ということは、ライバルの誰々に勝つとか金メダリストがやっていることを真似するとかではダメなんです。

今回の世界選手権では結果的に強豪ロシアの選手は出場しませんでした。

ウクライナとの戦争の影響でね。

だけど、ロシアが出てくるかどうかなんて私には関係ないことで、世界一の選手を超える、進化したパフォーマンスとは何だろうということだけに焦点を置いて、どんな相手も追いつけないレベルまで仕上げようと取り組んできました。


(本記事は月刊『致知』2023年12月号 特集「敬、怠に勝てば吉なり」より一部を抜粋・編集したものです)

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◇井村雅代(いむら・まさよ)
昭和25年大阪府生まれ。中学時代よりシンクロナイズドスイミング(現・アーティスティックスイミング)を始める。選手時代は日本選手権で2度優勝し、ミュンヘン五輪の公開演技に出場。天理大学卒業後、大阪市内で教諭を務める傍ら、シンクロの指導にも従事。53年日本代表コーチに就任。平成18年より中国、イギリスの指導を経て、26年日本代表ヘッドコーチに復帰。28年リオデジャネイロ五輪ではデュエット、団体とも銅メダルに導く。令和3年東京五輪では4位入賞。五輪でのメダル獲得数は通算16個。著書に『井村雅代コーチの結果を出す力』(PHP研究所)など。

◇乾 友紀子(いぬい・ゆきこ)

平成2年滋賀県生まれ。小学校1年生の時にシンクロナイズドスイミング(現・アーティスティックスイミング)を始める。6年生の時から井村シンクロクラブに所属。平成18年世界ジュニア選手権に出場し、3種目で銅メダル。2年後の世界ジュニア選手権ではデュエットで銀メダル、チームで銅メダルを獲得。21年立命館大学入学、この年より日本代表入り。五輪には24年ロンドン、28年リオデジャネイロ、令和3年東京の3大会に出場し、リオ五輪ではデュエット、チームで銅メダルを獲得。東京五輪後はソロに専念し、4年ブダペスト大会と5年福岡大会で共に2冠を達成した。

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