「人生はいま、この時を生きること」——宇宙の摂理を探求し辿り着いた生き方の法則〈理学博士・佐治晴夫〉

理学博士として長年宇宙の摂理について探求する傍ら、生き方の法則を見つめてきた佐治晴夫氏。そんな氏は、現在までの89年間の人生を通して、一つの真理に辿り着いたと言います。シスターとして信仰の一道を歩み、多くの人たちを幸せに導いてきた文学博士の鈴木秀子氏と共に、生き方の法則を語り合っていただきました。

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人生はいま、この時を生きていくこと

<佐治>
確かに年を取ると病気はするし運動能力は落ちる。いろいろなネガティブな面が出てくるのですが、逆に年を取ってからでないと分からないこともたくさんあるんですね。

また、年を取ったからこその出会いもある。僕も89歳のこの年まで生きたからこそ、本日の対談も実現できたわけです。

<鈴木>
人間年を取ると面白くなるというのは本当ですね。何より生活がシンプルになります。物を欲しいと思わなくなり、「こうでなくてはいけない」という拘りのようなものもなくなっていきます。

<佐治> 
鈴木先生は僕よりも少し人生の先輩ですが、とてもお若くていらっしゃる。ご病気とは無縁のように見えますね。

<鈴木>
おかげさまで、これまで大きな病気をしたことは一度もありません。私は40年間大学で教えてきましたが、大学院を含めて常に18歳から25歳の学生しか目の前にいませんでしたし、修道院ではほとんど同じ人たちと生活を共にしています。周りにあまり変化がないからか、年を取ったということを考えないんです。

もちろん、この頃では足が弱ってゆっくりとしか歩けなくなったり、すぐに疲れたりするので「ああ、やっぱり年かな」と思うこともあるんですけど、同じ修道院に96歳で元気に生活しているシスターがいるんですね。聞いてみると、自分はいまも18歳だと思って生きているんですって。

<佐治>
そうですか。自分はいつも18歳だと。

<鈴木>
年のことを全く考えないから、マイナス思考なんて起きないんでしょうね。そうやって自分に言い聞かせるのも元気の秘訣なのかもしれません。

私は1日に最低5,000歩歩くことを心掛けていますし、ストレッチとボイストレーニングを組み合わせた訓練に月に数回、通っています。

だけど、一番の健康法は自分が健康であると信じていることですね。

いまは講演をしたり原稿を書いたり、悩んでいる方の話に耳を傾けたり、ワークショップをしたりという生活ですが、コロナパンデミックが終息した後、ますます忙しくなって、この年でも全国の方からお声を掛けていただけることをありがたく思います。

<佐治>
人生を完全燃焼しようとされるお姿が伝わってくるようですね。ご自身の使命に向かって日々精いっぱい歩まれているのもお元気の理由なのでしょう。

僕は人間の寿命について、いつしかこう思うようになったんです。

私たちは身近な人や友人など「他者の死」に遭遇します。これは現実として受け止めることができる。しかし、自分が死ぬ「一人称の死」は意識することができません。人間は生まれた時も死ぬ時も覚えていないんです。だとしたら、自分にとっての時間とは一体何なのだろうかと。カトリック教会の司教で哲学者だったアウグスティヌスは「現在イコール永遠」と定義しました。

僕たちは過去を過ぎ去ったものと考えますが、そう考える自分は現在にいる。先のことを考える自分も現在にいる。つまり過去も未来も現在に含まれ、それが永遠に続くというんです。

ということは、私たちの人生は、「いま、ここに」しかないんです

カトリックには「自分が死ぬことを忘れるな」、その対語として「今日の花を摘むように、今を生きなさい」という教えがありますが、人生は突き詰めると、「いま、この時を生きていくことだ」というのが、89年間生きてきた僕の人生観です


本記事では、「戦争体験と人生を変えた出会い」をはじめ、お二人の人生の原点や転機となった出来事、また、「幸運の女神は準備された心に降り立つ」「あなたのこれからがあなたのこれまでを決める」など、それぞれ研究、信仰という道を通じて辿り着いた普遍の法則が語られています。宇宙の摂理を探究する中で至った佐治氏の人生観と宗教の教えには驚くほど相通ずる部分があり、必見の内容となっています。

◉『致知』2024年6月号 特集「希望は失望に終わらず」◉
対談〝「希望は失望に終わらず」
佐治晴夫(理学博士)
鈴木秀子(文学博士)

 ↓ 対談内容はこちら!
◆大きな希望ではなく小さな希望を
◆人生はいま、この時を生きていくこと
◆戦争体験と人生を変えた出会い
◆幸運の女神は準備された心に降り立つ
◆宇宙は一粒の光から生まれた
◆すべての宗教に共通するもの
◆あなたのこれからがあなたのこれまでを決める
◆試練の意味は後になって分かる
◆小さな思いと行動が世の中を変える

 ▼詳細・お申し込みはこちら

◇佐治晴夫(さじ・はるお)
昭和10年東京生まれ。東京大学物性研究所、ウイーン大学などで研究し、玉川大学教授、県立宮城大学教授、鈴鹿短期大学学長などを歴任。平成26年に神奈川県から北海道美瑛町に拠点を移し、28年同町郷土学館「美宙」天文台長に就任した。〝ゆらぎ〟の理論研究で知られる一方、宇宙研究の成果を平和教育の一環と位置づけるリベラルアーツ教育の実践を全国的に展開している。著書は『14歳のための宇宙授業』(春秋社)『詩人のための宇宙授業』(JULA出版局)など多数。日本文藝家協会所属。

◇鈴木秀子(すずき・ひでこ)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。聖心女子大学教授を経て、現在国際文学療法学会会長、聖心会会員。日本にエニアグラムを紹介。著書に『自分の花を精いっぱい咲かせる生き方』『幸せになるキーワード』(共に致知出版社)『悲しまないで、そして生きて』(グッドブックス)など多数。最新刊に『名作が教える幸せの見つけ方』(致知出版社)。

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