江戸時代の日本はSDGs先進国だった——いまこそ先人の知恵に学び、循環型社会を構築せよ


いま気候変動や土壌汚染、紛争の勃発、人口増加などの影響により、世界的な水不足、食料危機が目前に迫っていると言われています。崩れてゆく地球環境。しかし意外にも、SDGsという言葉が広まる遥か昔から、我われの祖先は循環型社会を実現していたといいます。豊かで幸せな日本を実現するため、いま先人の知恵に学ぶべきこととは——。それぞれ水と食料問題に通暁する、グローバルウォータ・ジャパン代表の吉村和就さんと東京大学大学院教授の鈴木宣弘さんに語り合っていただきました。

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江戸時代の日本はSDGs先進国

〈鈴木〉
戦国武将もそうですが、日本人の知恵には本当にすごいものがありましたね。

例えば、江戸時代の日本は鎖国をしていましたけれども、それぞれの地域には水田や山里を中心とした伝統的な共同体があり、その中で農作物や家畜を皆で生産し、地産地消すると共に、様々な資源を再利用する循環社会をつくり上げていました。

江戸時代の日本は世界に冠たるSDGsのリーダーだったんです。

〈吉村〉 
ええ、まさに江戸時代の日本はSDGs先進国でした。

私も世界でSDGsが言われ始めた頃、国連で「皆さん、偉そうなことを言っておりますが、300年前の日本の江戸では、100万人の人たちが既にSDGsを実践して持続可能な社会をつくっておりました」とスピーチしたことがあります。

では日本は具体的にどんなことをしていたのか? と聞かれましたから、例えば、江戸では人間の排泄物まで肥料(金肥)として、しかもウイルスや病原菌を殺すために必ず寝かせて十分高温発酵させてから活用していました、ということを伝えたんです。

それに衣服も着られなくなったものは雑巾に、雑巾も最後は燃やして灰にして、灰もまた肥料として使っていましたと。

そこまで徹底して資源を循環させていたのが江戸時代の日本です。

〈鈴木〉
こうした事実はもっと学校などで教えていくべきですね。

〈吉村〉
とはいえ、もう一度江戸時代の生活に戻れと言っても無理ですから、先人たちの知恵を生かしつつ、現代のIT、人工知能などの最新技術を治水なり、農業なりに活用して、かつての江戸のような循環型社会、地方創生を実現していくことが必要だと思います。

〈鈴木〉
おっしゃる通りで、本来はその土地で穫れたものはその土地に住む人たちで食べ、活用していくことが健康にも環境にも一番いいんですよ。

そしてその地域ごとの共同体、人と人のネットワークがしっかりしていれば、自分たちだけ儲けようとする人やグローバル企業がやってきたって容易に入れないわけです。

最新の科学技術も活用しながら、日本古来の共同体や循環型社会のあり方を取り戻していく。それが豊かで幸せな日本を実現していく道だと思います。


本記事では、「日本にも迫りくる水不足の危機」「崩壊の危機にある日本の農業」など、水と農業に関する日本の現状を詳らかにするとともに、「江戸時代の日本はSDGs先進国」「すべては一人ひとりの立志から始まる」など、現状を打破するために国家が進むべき道筋と国民一人ひとりに求められる姿勢が説かれています。

◉『致知』2024年2月号 特集「立志立国」◉
対談〝「日本の水と
食を護れ!
」〟
吉村和就(グローバルウォータ・ジャパン代表)
鈴木宣弘(東京大学大学院教授)

 ↓ 対談内容はこちら!

◆人間は自然からのしっぺ返しを受けている
◆日本にも迫りくる水不足の危機
◆崩壊の危機にある日本の農業
◆日本の食を破壊したアメリカの洗脳政策
◆日本の水源地が外国資本に買われている
◆日本を売り飛ばす日本人の売国行為
◆戦国武将は治水の神様だった
◆江戸時代の日本はSDGs先進国
◆日本のために闘う国士がいま求められる
◆すべては一人ひとりの立志から始まる

 ▼詳細・お申し込みはこちら

◇吉村和就(よしむら・かずなり)
昭和23年秋田県生まれ。大学卒業後、企業勤務を経て、平成10年国連ニューヨーク本部、経済社会局・環境審議官に就任。17年グローバルウォータ・ジャパン設立、代表に就任。著書に『水ビジネス110兆円水市場の攻防』(角川書店)『図解入門業界研究最新 水ビジネスの動向とカラクリがよ〜くわかる本』(秀和システム)など多数。

◇鈴木宣弘(すずき・のぶひろ)
昭和33年三重県生まれ。57年東京大学農学部卒業。農林水産省、九州大学大学院教授を経て、平成18年東京大学大学院農学生命科学研究科教授。FTA産官学共同研究会委員、食料・農業・農村政策審議会委員、財務省関税・外国為替等審議会委員、経済産業省産業構造審議会委員、コーネル大学客員教授などを歴任。著書に『食の戦争』(文春新書)『農業消滅』(平凡社)『世界で最初に飢えるのは日本』(講談社)など。

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