2023年03月14日
全国に約2000店舗を展開し、フィットネス業界で顧客満足度8年連続1位を獲得しているカーブス。「50代からのカーブス」「女性専用」をコンセプトに躍進を続ける同社を今日まで牽引してきた増本岳社長に、山あり谷ありのビジネス人生から掴んだ企業発展の要諦をお話しいただきました。
企業発展の三つのポイント
〈――御社が展開するフィットネスクラブ・カーブスは、驚くほどのスピードで成長を遂げていますね。まずカーブスが多くの人々に支持される理由をお教えください。〉
〈増本〉
カーブスは他のフィットネスとはお客様層が全然違う、これが第一ですね。普通のフィットネスクラブには、運動やスポーツ好きの方が通ってらっしゃるかと思います。でもカーブスは、「女性専用」「50歳からのカーブス」をコンセプトに、健康の悩みを抱えているけれども普段運動の機会が得られない、運動が苦手な50歳以上の女性を対象にしているんです。
〈――同業他社が注目してこなかった層を対象にしていると。〉
〈増本〉
運動が苦手な方が多いですから、運動プログラムも取り組みやすく、かつ効果が実感できるものでなくてはなりません。そこでカーブスでは、筋力トレーニングと有酸素運動、ストレッチの三つを約30分で行える独自のプログラムを提供しています。
僅か30分ですが、このプログラムを実践することによって、効率的な筋力アップ、高い脂肪燃焼効果が得られ、生活習慣病や認知機能の改善にも役立つことが様々な科学的研究から明らかになっています。
〈――三十分で。それは魅力的です。〉
〈増本〉
ただ、運動プログラムがあればいいかといえば、そうではありません。そこで重要なのが、運動の苦手なお客様に寄り添う女性インストラクターの存在です。
私は現場のインストラクターたちに、「カーブスに来ていただく理由を三つつくろう」と常々言っているんですね。
一つは当たり前ですが、健康のために運動をしに来ていただく。二つにはインストラクターに会いに来ていただく。つまり、運動方法を指導するだけでなく、一人ひとりのお客様のことをよく理解して、「あのインストラクターに会いたいからカーブスに行こう」と思っていただける人間関係をつくっていこうと。
例えばカーブスでは、お客様の顔と名前を覚え、必ずファーストネームでお呼びします。また一人ひとりのお悩みを理解し、その方に合ったサポートをすると共に、お悩みがよくなったらどうしたいのか、まで理解して寄り添っていきます。
さらに一週間ご来店がなければ「ウェルカム・コール」を行うのですが、仕事と親の介護を両立しながら通っているお客様には、「お父様のご加減はいかがですか?」というように、相手の事情を慮おもんぱかった対応を心掛けています。
〈――まさに、お客様を物心両面からサポートしていくのですね。〉
〈増本〉
三つには、カーブスで仲よくなった友達に会いに来ていただく。心許せる女性同士のコミュニティーができることによって、運動を続けようという動機が強まっていくんですね。
以上の三つを大事に守り、深めてきたこと。特に「お客様に健康になってもらいたい」「地域を健康にしたい」との使命感に溢れるインストラクターの存在がカーブスの一番の強みだと思っています。
★(本記事は月刊『致知』2023年3月号「一心万変に応ず」より一部抜粋・編集したものです)
◎増本岳社長のインタビューには、
- 原点となった祖母の教え
- 事業は世のため人のために興すもの
- 事業の原点を貫き 危機を乗り切る
- 「健康大国日本」の実現を目指して
など、事業を永続させていく経営の要諦が満載です。本記事の詳細・ご購読はこちら【「致知電子版」でも全文をお読みいただけます】
◇増本岳(ますもと・たけし)
昭和39年神奈川県生まれ。明治大学卒業後の63年、日本エル・シー・エー入社。翌年ベンチャー・リンク入社。平成17年カーブスジャパン設立、代表就任。23年よりカーブスホールディングス社長。