2023年02月19日
大阪の地で20年以上にわたってホームレス支援に携わってきた石黒大圓さん。その原点には愛する妻子との辛い別れ、不思議なご縁の導きがあったといいます。人生の山坂を乗り越え、自らの天命を見出した石黒氏に善きことを積み重ね、幸せに近づく要諦を語っていただきました。
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人間が幸せに生きていくために
——様々な悲しみを経て、自らの使命を見つけられた石黒さんですが、人間が幸せに生きていくためには何が大事だと思われますか。
〈石黒〉
ホームレスもそうですけれども、病気や障碍など、不幸な体験をしている人がいたら、「誰かの身代わりに苦難を引き取ってくれているんだ」と感謝する、思いやる気持ちを持たないと、よりよい人生も、世の中もつくっていけないと思います。
炊き出しをしている時に、「こんな連中に飯なんか食わしやがって!」と罵倒されたことがありますが、私がそうだったように、人生にはいつ何が起こるか分かりません。誰にでも人生の「まさか」はやってくるんです。
また、胎内記憶(子供が胎内にいた時の記憶)研究の第一人者で産婦人科医の池川明先生の調査によると、幼い子供の3分の1に胎内での記憶が残っているそうです。その子供たちにこの世に生まれてきた理由を尋ねると、ほぼ全員が「人の役に立つため」と答えると言います。
誰もが人の役に立つために生まれてきたはずなのに、大人になるにつれて忘れてしまうんです。
やはり、人は輪廻転生を積み重ねてきてこの世に再び生まれて来た目的、「世のため、人のため」という思いが心の中になければ、幸せな人生は送れないと思います。そして善き思いを抱く、人のためになること、人の幸せを祈ることは、巡り巡って自分に返ってくるよう世の中はできているんです。
——善きことを積み重ねればそれが自分に返ってくる。まさに「積善の家に余慶あり」ですね。
〈石黒〉
私は奇跡のような導きによって今日まで歩んでくることができました。特に妻子の導きを強く感じています。
妻子を失っていなかったら、様々なご縁もいまの自分もないでしょう。妻子の導きに感謝し、これからもホームレス支援に取り組み、私が向こうの世界へ戻った時には、「この世を少しでも善くしてきたよ!」とお互いに抱き合って報告したいですね。
(本記事は月刊『致知』2023年2月号 特集「積善の家に余慶あり」より一部を抜粋・編集したものです)
◉本記事では、「ぼく死んでも皆の心の中で生きるよ」「あなたと結婚できて幸せでした」 「絶望の中で天啓が舞い降りる」など、石黒さんが人間の天命を掴むに至る壮絶な歩みを語っていただきました。艱難辛苦に屈することなく、一道をひらいた石黒さんの歩みには、逆境を乗り越えるヒントが詰まっています。本記事の【詳細・購読はこちら】
◇石黒大圓(いしぐろ・だいえん)
昭和22年奈良県生まれ。大阪で育ち、45年大学卒業、家業のセーター卸問屋を継ぐ。平成元年に次男を、9年に妻を失う。11年「オヤジ狩り」に遭う。様々な悲しみと苦難を経て、13年釜ヶ崎の炊き出し活動に参加したことをきっかけにホームレス支援に携わる。現在は「扇町公園炊き出しの会」代表を務める。著書に『妻子の死からホームレス支援へ』(アートヴィレッジ/アマゾンなどネット注文か書店取り寄せのみ)がある。