修練と勇気、あとはゴミ—— 黒柳徹子のプロ論。

1万本以上に及ぶ月刊『致知』の人物インタビューと、弊社書籍の中から、仕事力・人間力が身につく記事を精選した『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』(藤尾秀昭・監修)。致知出版社が熱い想いを込めて贈る渾身の一書です。本書の中から黒柳徹子さんのインタビュー記事をご紹介します。

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修練と勇気、あとはゴミ

私にはあんまり、こうしたい、ああしたいという野望はないんです。いまここにあるものを、どうすれば切りひらいていけるかという考えで生きてきたので。ただ、努力はしますよ。俳優の渥美清さんは私の芝居をよく見に来てくださったのですが、感想は、「お嬢さん、元気ですね。元気が一番」といつもそうでした。

また長年指導していただいた劇作家の飯沢匡先生も、台本をどう演じればよいかを伺うと、「元気におやりなさい。元気に」とおっしゃった。

その頃は元気だけでいいのかなと思ったんですが、いまとなれば、どんなに才能があっても、結局、元気でなきゃダメなんだということが分かるんです。「元気が一番」という渥美さんの言葉も随分私の力になっていますが、もう一つ仕事をしていく上で大事にしているのが、マリア・カラスの言葉です。20世紀最高のオペラ歌手と謳われた彼女が「オペラ歌手にとって一番必要なものはなんですか」と聞かれた時に、こう答えたというんです。

「修練と勇気、あとはゴミ」と。

彼女は生前、40ものオペラに出たんですが、楽譜を見ると分かるように、それぞれに物凄く細かい音がある。しかし彼女はその全部に対して、「絶対にこれでなければダメだという音を、私は出してきた」と言い切っている。要はそれくらいの修練をし、身につけてきたということでしょう。私は毎年一回、舞台をやるんですが、その時にはやはりね、「修練と勇気、あとはゴミ」と思いますよ。そのためには1か月半の稽古をし、2000行におよぶセリフを覚えなければならない。だから皆と飲みに行くことも、ご飯を食べに行くこともなく、稽古場から家に帰って、あとはずっとセリフを覚えたり勉強をしたりで、全神経をそこに集中させていく。

もう一つ、これはイギリス人の方が教えてくれたのですが、「ある人が飛躍して才能を発揮する時には、皆が寝ている時にその人は寝ていなかった」という言葉があるんです。つまり努力をしたということでしょう。でも並の努力ではそこまでいきません。


(本記事は『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』より一部を抜粋・編集したものです)

◇黒柳徹子(くろやなぎ・てつこ)
東京乃木坂生れ。東京音楽大学声楽科卒。NHK放送劇団に入団、NHK専属のテレビ女優第一号となる。文学座研究所、ニューヨークの演劇学校で学び、テレビ、ラジオ、舞台女優として活躍。また、ユニセフ親善大使、トット基金理事長を務め、長年にわたり活動を続ける。著書は、ベストセラー『窓ぎわのトットちゃん』をはじめ『トットの欠落帖』『小さいときから考えてきたこと』『新版 トットチャンネル』『トットひとり』など。

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