「エネルギーは出し切れ」セコム創業者・飯田亮氏が27年前に語ったこと

1962年、日本で初となる警備保障会社セコムを創業した飯田亮(いいだ・まこと)氏が1月7日、逝去されました。20代で徒手空拳立ち上げた企業が1兆円規模になる原点には、飯田氏の「狂」の字がつくほどの熱意がありました。1996年の『致知』より、ベストセラー『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』に収載された当時の記事を紹介いたします。故人のご冥福を衷心よりお祈り申し上げます。

勝ち続けるには「狂」であれ

〈飯田〉
社員には、エネルギーは出し切れ、と言っています。

人間的エネルギーというものは使えば使うほど増殖されるものなんです。僕自身、人間的エネルギーは使えば減るし、減った分を補充するには、それなりの時間がかかると思っていた時期もありましたが、そうではない。充電するには時間などかからないし、使えば使うほど、充電されるものなんです。2ひく1は1という算数のロジックをすべてに当てはめようとするのは間違いです。

創業して間もない頃は、まだ会社も小さく、いい人材が集まらなかった。優秀な人間を集めて、いい企業体をつくるのはわけのない話なんだけど、僕をはじめとする半人足の人間が集まって企業を成長させていくには、人一倍のエネルギーを出していかなければならないから、そういうことを言い続けたわけです。

最近、財界活動を控えているのは、自分の好みの問題もあるが、何よりも、いまはやっぱり自分の事業に専心したいというのが正直なところです。それには集中力を拡散させないことが一番重要なんですね。

ぼくは新しい事業のデザインをしたり、いわゆるセコムの総体的なデザインをするための集中力を欠きたくないんです。新しくセコムに入ってきた人たちに対する義理もありますから、セコムの将来をちゃんとしておかなければいけない。そのためのコンセントレーションを欠きたくないというのが、いまの一番の願いですね。

自分なりに結論が出るまでは誰にも相談しない。自分の中で決めてから相談するのはいいのですが、どうしようかと迷っている時に誰かに相談してしまうと、もうそれでいいやと思ってしまって、集中力が半減してしまうんですね。

徹底して一人で考える。思いついた考えを書き留めて、それをファイルしておき、それをまた見返して書き足して事業のデザインをしていく。その間、それがある結論に達するまでは、どうしたらいいだろうかと人には一切相談しない。

うちの幹部などにも、僕がこれこれこういうことをやれと指示すると、すぐに部長や次長のところに行って、「会長からこう言われたけど、どうしようか」と相談する幹部がいるけど、こういうのは絶対にいかんですね。とてもじゃないが、幹部にはしておけない。

事業は継続していかなければなりません。それには勝ち続けなければならないんです。誰でも一度はまぐれで勝つことはできます。だが、勝ち続けるということは非常に難しいことなんですね。

勝つということは、相手より優れているということであり、凡でなく非凡であるからこそ勝てるのです。非凡は、いわゆる常識の枠内からは決して生まれません。はっきり言えば、勝ち続けるには「狂」であることが必要なんです。

まあ、平平凡凡でいいやというのでは事業はできませんね。思い込んだら命懸けというところがないと、事業は続かないと思います。


(初出:月刊『致知』1996年10月号 特集「生き筋を見つける」|引用:『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』4月21日)

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