「夢は考えるのではなく、与えられるもの」——片岡鶴太郎と鈴木秀子が語る夢を叶える秘訣

お笑いで一躍大ブレークを果たした後も、演劇、ボクシング、絵画、ヨーガと、新しい世界に果敢に挑戦し、自身の可能性を追求し続ける片岡鶴太郎さん。そんな鶴太郎さんと弊誌連載「人生を照らす言葉」でおなじみの文学博士・鈴木秀子さんに、夢を見つけるため、叶えるために必要なこと、いつまでも夢に向かって挑戦し続けることの大切さについて語り合っていただきました。

人に喜びを与えた時 心は満足を得る

〈片岡〉
鈴木先生は、私たちが遭遇する出来事には必ず意味があるとおっしゃいましたが、僕も全く同感です。

よく環境がこうだからとか、不景気だからとか、家庭が貧しいからとか言って「夢を持てない」と嘆く青少年がいますけれども、僕は彼らが本能というのか、自分が本当にやりたいことに向き合っていないような気がしてならないんです。自分の心と正直に向き合えば、「これをやりたい」というものが絶対に見つかるはずだと僕は思うんです。

私たち人間が大自然の叡智から守られている存在だとしたら、夢というのは自分で考えるものではなく、与えられるものなのかもしれませんね。大事なのはそうやって自分の夢を見つけたら、それに向かってひたすら突き進んでいくことだと思います。

〈鈴木〉
そのとおりですね。

〈片岡〉
次にその思いを具現化していくわけですが、当然、現実の自分と夢との間には距離感がある。ではどうしたらその旗印の場所に辿り着けるのかを考え、イチローのように毎日毎日反復練習していく。そうすると、1か月後、それまでとは違う自分の姿を見つけて歓喜を味わうことができる。夢とはそうやって実現していくものだと思います。

〈鈴木〉
夢に挑むということで思い出した話があります。私の友人のお兄さんの話なんですけれども、飛行機の操縦が趣味で、九州の阿蘇に個人の小さな飛行場を造ろうとしたんです。

ところがそこは岩が多くて滑走路を造れなかった。そこで岩を取り除いて一か所に集めていた。そうしたら、ある時警察から「あの岩の辺りにお金がたくさん散らばっています。盗難になるといけないので、賽銭箱を置いてください」と連絡があったというんです。

「何が起きたのだろう」と思って行ってみたら、「ここに参ったら宝くじが当たる」という評判が立っていた。それでその人は、岩が積んであるだけのその場所に、鳥居を取り付け、賽銭箱を置くんですね(笑)。

私が面白いと思ったのは、その人が「1100万円当たりたければ、1100万円が当たるように願いなさい。そして当たったならば、100万円は人のために使ってください」と話していることなんです。

宝くじが当たるのがいいことだとは必ずしも言えない部分もあるようですが、私はこのお兄さんの姿をとおして、あることを感じたんです。

それは、人間は自分が好きなことに打ち込んで知らないうちにそれが形になった時、そこに「人が喜んでくれる」という要素があって初めて心が満足できるという本性を持っている、ということです。

〈片岡〉
なるほど。自分一人の夢を果たすだけでは人間は満足できないということですね。

〈鈴木〉
そう思います。だから「あなたは自分の夢が実現しましたか」と聞かれて、「自分の思いが叶い、知らないうちに周りの人たちも喜んでくれるようになりました」と答えられた時、本当の夢の実現といえるのではないでしょうか。


(本記事は月刊『致知』2014年10月号「夢に挑む」から一部抜粋・編集したものです)

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◇片岡鶴太郎(かたおか・つるたろう)
昭和29年東京都生まれ。高校卒業後、物まねの片岡鶴八に弟子入り。テレビのバラエティー番組などの出演を重ね、63年にはボクシングのプロライセンスを取得し注目を浴びる。同年、映画『異人たちとの夏』で日本アカデミー賞最優秀助演男優賞受賞。現在では画家としても活躍。著書に『片岡鶴太郎 還暦紅』(青幻舎)『今日も日暮里』(徳間書店)など多数。

◇鈴木秀子(すずき・ひでこ)
東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。聖心女子大学教授を経て、現在国際文学療法学会会長、聖心会会員。日本で初めてエニアグラムを紹介し、第一人者として各地でワークショップなどを行う。著書に『幸せになるキーワード』(致知出版社)など多数。

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