SMFG太田純×SBI北尾吉孝——トップが語り合う「伸びる社員の共通点と育て方」

日本を代表するメガバンクの三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)と、金融界に新たな地平を切り開いてきたSBIホールディングス。両社を率いる太田 純さんと北尾吉孝さんに、いかなる状況下でも挑戦を続ける社員の共通点と社員に言い続けていることを語っていただきました。

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伸びる社員の共通点

<太田> 
伸びる人はやっぱり熱量が違いますね。

私はスタートアップ企業の社長さん方とも親しくさせていただいているんですけれども、彼らもすごい熱量を持っている。

そうした熱量をしっかりと持ちながら、失敗してもめげずにチャレンジし続ける。

そういう人が伸びると思いますし、経営のトップとして、熱量の高い社員をたくさん育てていきたいですね。

<北尾> 
太田さんがおっしゃる通りで、熱量が低い人、やる気がない人はダメですね。

それから、一旦いったん決めたことはやり通すこと。

それがなければ何事も中途半端に終わってしまいます。

太田さんのように、失敗しても失敗しても上司に認めさせるような力量を備えていれば最高です。

普通の人がその域に達するのはなかなか至難ですが、熱量だけは誰でも発揮できるわけで、そこがすべての出発点になると思いますね。

さらに言えば、一本筋の通った精神的なバックボーンを持っている人は強いと思います。

大事な決断に際して右往左往うおうさおうする人、ブレる人、これはダメですね。

やっぱりしっかりした判断の物差し、恒心こうしんを持っている人のほうが伸びているように思います。

社員に言い続けていること

<北尾> 
社員にはいつも、志を持てと言い続けています。

志を持つというと難しく感じるかもしれませんが、平たく言えば、世の為人の為に何かできる人間になろうということです。

仕事をしていく上で、そういう考え方が根本になければならないと私は思うんです。

<太田> 
私も同感です。

<北尾> 
私はいま地方創生に一所懸命取り組んでいますが、公益は私益に
つながるといつも部下たちに言っているんです。

これはいままでの体験を通じて実感していることでしてね。

例えば、私はオンラインの証券会社であるイー・トレード証券を立ち上げて手数料を大幅に下げました。

この時は、証券会社のふところに入るお金を投資家にばらまいているという懐疑的かいぎてきな見方をされたこともあります。

しかし、お客様に最大限の利益をもたらす努力を重ねて、世のため人のために尽くしていけば、必ず自分たちの利益となって返ってくるんです。

実際に、イー・トレード証券は大きな成長を遂げることができました。

両氏の経営者としての覚悟

<太田>
仕事は自分の人生を表現する一つの舞台だと私は思っています。

きょうは北尾さんのお話を伺って、人生の舞台を精いっぱい演じ続けていらっしゃることが伝わってまいりました。

私の人生もまだまだこれからです。

舞台のクライマックスは何度も訪れると思っていますし、恐らく仕事を引退してもいろんな舞台に上がることになるでしょう。

最後の一時まで舞台に上がり続けるのが人生ですし、舞台に上がる限りは精いっぱいの熱量を持って自分という人間を演じていきたい。

そう願っています。

<北尾> 
我われは人間である以上、いずれどこかで死を迎えます。

私は古希こきを迎えてから特に、限られた時間をいかに有効に使うかという惜陰せきいんの情をこれまで以上に強く抱くようになりました。

憲政の神様といわれた尾崎
行雄ゆきおは、「人生の本舞台は常に将来に在り」という言葉を残しました。

人生百年時代といわれますが、自己管理をおこたらず、体力、知力、気力をでき得る限り高く維持して、これから先もまだまだ世のため、人のために経営に命を燃やし続けていきたいと念じています。


◇太田 純(おおた・じゅん)
昭和33年京都府生まれ。昭和57年京都大学法学部卒業。同年旧住友銀行入行。平成21年三井住友銀行執行役員。27年には新設されたITイノベーション推進部の担当役員として、ベンチャー企業との協業やキャッシュレス決済事業を推進。29年三井住友フィナンシャルグループ取締役兼副社長。31年同グループ社長。

◇北尾吉孝(きたお・よしたか)
昭和26年兵庫県生まれ。49年慶應義塾大学経済学部卒業。同年野村證券入社。53年英国ケンブリッジ大学経済学部卒業。野村企業情報取締役、野村證券事業法人三部長など歴任。平成7年孫正義氏の招聘によりソフトバンク入社、常務取締役に就任。現在SBIホールディングス代表取締役社長。著書に『何のために働くのか』『君子を目指せ小人になるな』(共に致知出版社)など多数。

(本記事は月刊『致知』2020年10月号 特集「人生は常にこれから」に収録された対談を抜粋・編集したものです)

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