2022年01月22日
弊誌『致知』特集にもご登場いただいた、神奈川県を中心に保育園「天才キッズクラブ」を運営する田中孝太郎さん。田中さんが理事長を務める天才キッズクラブは、入園した3~5歳の子どもたちが一年間に1000冊以上本を読んだり、漢字や英語でカルタ遊びをしたり、卒園する時には皆が逆立ち歩きをできるようになっていたりと、子どもの才能がグングン伸びる“奇跡の保育園”として話題を集めています。また「オンライン親子deワクワクサロン」でも、オンラインツールを通じて全国の子育て世代の悩みに向き合っています。「やらせない、教えない、無理強いしない」「落ちこぼれをつくらない」を教育のモットーに掲げる田中理事長に、子育てに奮闘中のご両親から寄せられた質問にずばっと答えていただきます。
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Q1:どうしたら友達ができますか?
Q:(30代、男性)
5歳の息子が、なかなか周りの子たちに溶け込めず、友だちになれません。どちらかといえば、集団でいるよりも、一人で遊ぶほうが好きなようです。このままでは、小学校に上がっても友だちができなかったり、イジメにあったりするのではないかと心配です。
A:(田中理事長)
一人で遊ぶことが好きなのも個性であり、決して否定する必要はありません。ただ、一人の時だけでなく、お友だちと一緒の時も楽しめるようになれば、その子の選択肢は広がりますよね。
お子さんが友だちと一緒に楽しく遊べるようになるには、大人が見本を見せることです。お父さん、お母さんがいろんなところに顔を出し、いろんな人と関わって楽しむところを見せる。そこにお子さんも巻き込んで、皆で一緒に遊べるような環境をつくってあげるとよいでしょう。
例えば、自宅にお友だちを呼んでパーティーを開く。よそのお宅へ家族皆で遊びに行く。地域の自主保育グループに参加したり、いろんなサークルに顔を出したりする。お子さんが、お父さん、お母さんと一緒に、様々な人と関われる機会をつくってあげるのです。
決して無理をさせる必要はありません。まずは、お父さん、お母さんが積極的にいろんな人と関わっている姿を見せること。大人が楽しむ姿を見せることで、お子さんも自ずとよい影響を受けていくと思いますよ。
Q:(30代、男性)
田中先生のところでは、人見知りの激しい子にどう対応なさっていますか?
A:(田中理事長)
天才キッズクラブに入ると、人見知りの激しい子もたちまち人懐っこくなるんです。それは、クラブで毎日たくさんのお客様をお迎えしているからで、環境さえ与えてあげれば、子どもの社交性は自ずと養われていくものです。
それから、「うちの娘は男の人が苦手で……」といった相談もよく受けますが、私が一緒に遊んであげたら、たった一日で打ち解けてしまいます。
男の人が苦手というのは、親の思い込みであることが多く、側に楽しく関わってくれる男の人さえいれば、徐々に解消するものです解消するものです。
ここでもやはり、お子さんを巡る環境づくりがとても大切であるといえるのです。

元気いっぱいにブリッジ歩きする天才キッズクラブの子供たち
Q2:体の強い子に育てるには、どうすればよいでしょうか?
Q:(40代、男性)
下の娘が5歳になりますが、上の子に比べて体が弱いのが心配です。よく病気にかかり、時には吐くこともあります。体の強い子に育てるためには、どうすればよいでしょうか?
A:(田中理事長)
これも先ほどの話と一緒で、お子さんの体が強くなるような環境づくりを考えてあげましょう。その子に無理のない範囲で、体を養っていけるような遊びを楽しむ習慣をつくることです。
例えば、公園で追いかけっこをする。その時に、丈夫な上のお子さんと競わせたら歯が立たなくて嫌になってしまいますから、お父さん、お母さんがその子のレベルに合わせて一緒に走ってあげるんです。
一所懸命走るふりをして、10回のうち、6、7回は負けてあげる。そして「すごいね!」と褒めてあげたら、お子さんも体を動かすことが楽しくなります。それを繰り返すうちに、少しずつ体力がついていくでしょう。
天才キッズクラブでは、皆で毎朝マラソンをやっています。私もしょっちゅう一緒に走るのですが、元気のない子ほど「すごいね!」「速いね!」と、たくさん声をかけています。
こちらが簡単に抜いてしまったら、子どもは面白くなくなってしまいます。だから、「抜いちゃうぞーっ!」と後ろから追い上げ、「抜けないーっ!」って勝たせてあげる。あるいは、わざと負けてあげて「抜かされたーっ!」と悔しがる(笑)。そうして、「○○君、すごい!」って褒めてあげるんです。
走るのが嫌いな子は必ずいるものですが、そんなふうに楽しく走っていると、皆見事に好きになってくれるんですよ。
Q:(40代、男性)
体が弱いことに対して「もっと強い子になれ!」などと叱咤してもよいでしょうか? どのように声をかけたらよいか、迷っています。
A:(田中理事長)
「もっと強い子になれ!」と言ったり、やらせるのではなく、 どうやったら楽しめるか、ワクワクできるかを常に考えることが大切です。 その中で、お子さんの身体が強くなる環境をしっかり作ってあげましょう。
天才キッズクラブでは、体の弱い子も、なるべく他の子と一緒に活動させてあげるようにしています。そして、一番目をかけてあげるんです。少しでも走ろうとしたら、応援してあげる。「すごいね!」「格好いいね!」と褒めてあげる。いいところをどんどん認めてあげる。
何事も日々の積み重ねです。その子が夢中になれることを、楽しみながら続けていくことが大事です。
たくさん体を動かせば、お腹が空いてご飯もたくさん食べられるでしょう。夜もぐっすり眠れるでしょう。そんな毎日を繰り返すうちに、お子さんの体もだんだん丈夫になっていくと思いますよ。
Q3:我が子のことをかわいいと思えません
Q:(30代、女性)
3人の子供がいるのですが、それぞれ性格や能力が違います。どうしても3人を比べてしまい、勉強やスポーツなどの出来が悪い子に、「なぜ、あなただけできないの?」ときつく当たってしまいます。どうしたらいいでしょうか?
A:(田中理事長)
子育てで絶対にやってはならないこと。それは、他の子と比べることです。お子さんを他の子と比較するのは絶対にダメです。これをやると、できない子は苦しんで、どんどん追い詰められていきます。「なぜ、あなただけできないの?」は禁句だと心得てください。
どんな子にもよいところがあります。お父さん、お母さんの務めは、その子のよいところを見つけて、褒めてあげることなのです。
たとえ小さなことでもいい、その子のよいところを見つけてあげる。できるようになったことをとにかく認めてあげ、褒めてあげる。そんなふうに、お子さんへの接し方を変えていきましょう。
Q:(30代、女性)
できない子のことを、かわいいと思えない時があります。どうしたら3人同じように愛情をかけて育てられるようになるでしょうか?
A:(田中理事長)
そんな場合は、先にお子さんを好きになる行動をとってしまうことです。「でも、やっぱりあなたのことが大好き!」って抱きしめてあげる。そうして自分の脳を洗脳してしまうんです。「大好き!」って何度もハグしてあげると、愛情ホルモンが出て、好きになるんです。
私も人間ですから、人に対する好き嫌いはもちろんあります。それに教室では、やっぱり明るい子、元気な子が目立ちますから、どうしてもそちらに気を取られてしまいがちです。
だからこそ、おとなしい子、元気のない子には、意識してたくさん声をかけ、「大好き!」ってハグしてあげるんです。他の子の十倍くらい関わってあげることを、スタッフと共に心掛けているんです。
Q:(30代、女性)
子どもにきつく当たっては自己嫌悪に陥り、自分を責めてしまう。そんなことを繰り返しています……。
A:(田中理事長)
どうかご自分を責めないでください。どの親御さんも同じようなものですから。
保護者会を開くと、普段はとても人当たりのよいお母さんが、
「いけないと分かっているのに、つい子どもを叱ってしまって。私ってホントにダメなんです……」
と涙を流されることがよくあります。でも、誰しもそういうことはあるものですし、それですぐにお子さんがダメになってしまうわけではありません。ですから、必要以上に自分を責めないでいただきたいですね。
「あぁ、またひどいことを言っちゃった……」という時には、自分のことを責めるのではなく、「でも、あなたのことが大好きよ!」って抱きしめてあげる。あらかじめそういうふうに決めておけばよいと思います。「大好きよ!」って何度も何度も抱きしめてあげるうちに、だんだんその通りになっていくのです。
これは大人の人間関係でも言えることです。
苦手な相手に対して、「この人のおかげで成長できる」「貴重な体験をさせていただいているんだ」と思う。そうして心の中で「ありがたいな」「嬉しいな」「大好き!」と繰り返しているうちに、その方との人間関係は確実に変わっていくものです。
子供は大人の背中を見て育つ
〈田中理事長からお父さん、お母さんへのメッセージ〉
お父さん、お母さんには、いつも笑顔でいてほしい。それが私の願いです。そして、これから大人へと成長していくお子さんを、大らかな目で見守ってあげてください。
子どもは、私たち大人の後ろ姿を見て育つものです。お父さん、お母さんが楽しむ後ろ姿から、お子さんはよい影響を受けます。お父さん、お母さんが、いつも笑顔でいることを意識するだけで、子育てを巡るいろんな問題も、徐々に改善していくことでしょう。
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◇田中孝太郎(たなか・こうたろう)
昭和33年長野県生まれ。不動産会社勤務を経て、平成3年に独立、不動産業と共にブティック・アパレル会社を経営。21年に㈱TKCを設立。翌年保育園「天才キッズクラブ」を開園し、現在、神奈川県を中心に17の保育園と学童/課外教室を展開。「オンライン親子deワクワクサロン」でも、オンラインツールを通じて全国の子育て世代の悩みに向き合っている。著書に『やらせない、教えない、無理強いしない天才キッズクラブ式「最高の教育」』(きずな出版)がある。