日本が取り組むべき二つの教育改革|野口芳宏×占部賢志

写真左が占部氏、右が野口氏

深刻化するいじめや不登校、学校教育の迷走、家庭教育の崩壊など、ますます混乱を深めている日本の学校教育。どうすれば、教育の荒廃に歯止めをかけることができるのでしょうか。長年現場の教育に携わり、現在は後進の育成などの尽力する野口芳宏さんと占部賢志さんに、いま日本に求められる二つの教育改革を語り合っていただきました。

【1/31(月)まで】2022年、『致知』はおかげさまで創刊44周年を迎えます。ここまで歩んでこられましたことに感謝を申し上げます。そして社会が大きな変化に直面しているいま、一人でも多くの方に『致知』をお役立ていただきたい――その願いを込め、毎年恒例の「新春お年玉キャンペーン」を実施中。本誌との併読にぴったりな書籍もプレゼントしております。詳しくは下のバナーから!

戦後教育に欠落した親孝行と愛国心

〈占部〉
日本の教育は最初に子供たちの興味関心ありきですから、道徳の授業でもいろいろなテーマについて自由に議論をさせるべきだと言います。しかし、何も知らない子供たちに道徳が議論できるはずがないんです。こんなやり方は必ず失敗する。道徳に必要なのは、野口先生がおっしゃった不易の価値観の教育です。

田中美知太郎先生は僕が大変尊敬する古代ギリシャ哲学の大家ですが、中曽根内閣の臨時教育審議会(臨教審)会長に任命された岡本道雄先生(京都大学元総長)が真っ先に挨拶に訪れた時、こうおっしゃるんです。

「岡本君、取り組むべき教育改革はたった二つだよ。それは親孝行と愛国心だ。戦後の日本に欠落したこの二つをしっかりと育む教育をするように」

〈野口〉
素晴らしい言葉ですね。私がいま野口塾で伝えているのも、まさに親孝行、愛国心、夫婦愛、兄弟愛などです。人間にとって最も大切な徳という意味で、私はこれを「元徳」と呼んでいます。先ほど「研究と修養」というお話をしましたが、他者改善と同時に塾生自身の自己改善を大変重視しているわけです。

私は、おそらくどこの研究会にもない修養講座という一コマを設けて皇室の話や日本を危機から守った軍人の話などをしています。もちろん、授業が下手な教師では困りますから、授業の根本、本質、原点とは何か、ということについてもしっかりと伝えます。

〈占部〉
授業の本質はどこにあるとお考えですか。

〈野口〉
教育は人間形成、授業は学力形成。これが私が考える本質です。教師は45分間、50分間という授業での目標を明確にして子供たちの学力を形成できなくてはいけません。そういう根本が分かるといろいろなものがスッキリしてくるんですね。他では学べないことが学べると、私の塾にはリピーターがとても多いんです。20年以上の付き合いという人も少なくありません。

〈占部〉
野口先生のような心ある教育者が私塾によって各地で教師を育てる以外に教育正常化の道はないようにも思います。その中でお互いに切磋琢磨(せっさたくま)して力量をつけた教師が、子供たち、同僚の先生、保護者、地域社会と関わり合っていくことできっと光明が見えてくることでしょう。


(本記事は月刊『致知』2019年1月号 特集「国家百年の計」より一部を抜粋・編集したものです)

◇野口芳宏(のぐち・よしひろ)
昭和11年千葉県生まれ。33年千葉大学教育学部を卒業後、国・公立小学校の教諭に。平成4年校長に就任。8年定年退職し、北海道教育大学教授に。13年退官。現在は植草学園大学名誉教授の傍ら「授業道場 野口塾」を主宰し、現役教師の指導に取り組む。著書に『教師の心に響く55の名言』(学陽書房)『授業づくりの教科書 道徳授業の教科書』(さくら社)など多数。

◇占部賢志(うらべ・けんし)
昭和25年福岡県生まれ。九州大学大学院博士課程修了。高校教諭を経て、現在、中村学園大学教授。傍ら、NPO法人アジア太平洋こども会議・イン福岡「日本のこども大使育成塾」塾長などを務める。著書に『語り継ぎたい美しい日本人の物語』『子供に読み聞かせたい日本人の物語』(ともに致知出版社)などがある。

◉『致知』2022年2月号に、野口芳宏さんの教育対談を掲載。心理学博士の榎本博明さんと共に、いま求められる教育問題の根本を、教育現場の実例も交えながら語っていただいています。変化の激しい時代を自分らしく、よりよく生きるには、確固たる見識、〝人間力〟が求められます。対談の詳細はこちら


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