「志は高く、アンテナは高く、頭は低く」——伝説の営業マン・金沢景敏さんが語る仕事の極意

プルデンシャル生命保険で前人未到の営業成績を達成し、若くして世界の生保営業パーソンの上位0.01%に到達した伝説の営業マン、金沢景敏さん。2020年にプルデンシャル生命保険を退職後は、アスリートが抱える課題を解決し、その生涯価値を最大化することで新たな価値と収益を創出するAthReeboを創業、新たな挑戦を続けています。なぜ金沢さんは世界のトップに立つことができ、困難に挑戦し続けることができたのでしょうか。これまでの歩み、挫折体験を交え、人生・仕事の極意を語っていただきました。

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安定を捨ててフルコミッションの世界へ

(金沢)

私は平成24年度、プルデンシャル生命の営業コンテスト個人保険部門で頂点に立ちました。入社1年目、特に最後の数か月は「物理的には不可能」と言われた大差を覆しての勝利でした。

プルデンシャル生命に転職したのは昨年、32歳の時。前職では大手テレビ局でスポーツ中継などを担当し、名刺を出せば誰もが会ってくれるというような一見、何不自由ない日々を送っていました。

そんな私が固定給なし、経歴関係なし、「いかに多くのお客様を満足させたか」ですべてが決まる完全フルコミッションの生命保険営業の世界に飛び込んだのは、自分はこのままでいいのだろうかとの思いがあったからでした。

周囲からするとなぜ? という思いがあったでしょう。京都大学在学中には名将・水野彌一監督率いるアメリカンフットボール部でプレーし、卒業後も特に苦労なく大手企業へ就職。

しかし学生時代、口では日本一になると言いながら満足に勝つこともできず、厳しい練習から逃げていた自分がいました。「完全燃焼できなかった」との後悔の念が卒業後も拭えず、学歴や大手企業の〝看板〟の中で生きるのではなく、自分の力をもう一度がむしゃらに試してみたいとの思いがあったのです。

また就職後、記者としてアスリートに接する中で、選手を取り巻く厳しい現実にも直面しました。若くして高給をもらう選手の多くは金銭感覚に乏しく、引退後には厳しい生活になることも少なくありません。引退後に彼らが安心して競技に打ち込める環境をつくれないかと考えるようになっていました。

プルデンシャル生命の社員から「一緒にやらないか」と声をかけていただいたのはそんな時でした。「フルコミッションの世界なら、どこまでも自分の力を試すことができる。また保険を通じてアスリートの手助けもできるかもしれない」と、すべてを抛ち、転職を決意したのです。

やるか、やらないか

しかし、転職後の2か月はいくら電話をかけても、もうこれ以上ないというほど断られる日々が続きました。こちらの名前を名乗った途端、「保険の営業ですか」と電話を切られてしまう……。

しかし、ある時、ふと手に取った『鏡の法則』という本の中でこんな言葉に出合ったのです。

〝あなたの人生の現実は、あなたの心を映し出した鏡〟

自分が冷たい対応をされてきたのも、逆の立場だったら同じことをしていたかもしれない。そう思うと、いくらかは相手の気持ちが理解できるようになった気がしました。

商談が失敗しても、アポが取れなくてもすべての原因は我にあり。自分がされて嫌なことは相手にもしない、自分がされて嬉しいことをとことんやっていこうと発想を変えました。

そして私は保険営業という枠にとらわれず、お客様の役に立てることはなんでも提案していこうという自分なりの営業スタイルを築いていったのです。

法律や資産の知識に乏しいアスリートの方がいれば弁護士・税理士を、独立を考えている方がいれば、志を同じくする経営者を自分の損得を考えず紹介していく。それによって、自分もまた人と人を結ぶ役割を果たせるこの仕事にやり甲斐と誇りを見出していきました。

プルデンシャル生命のライフプランナーが提供する保険はすべてオーダーメイド。私自身もお客様一人ひとりの人生に寄り添い、心を込めて保険プランを設計していくのです。

仕事に打ち込んでいるいま、営業後の資料作りや設計が終わるのは朝の3時か4時頃です。寝袋を会社に持ち込んで、家に帰るのは週に一度きりということもありました。

転職して学生時代には理解できなかった水野監督の言葉の一つひとつが、不思議と心に響いてくるようになりました。

「男は30歳までに器が決まる。それは〝頑張れる器〟の大きさだ。おまえら、一回死ぬほどしんどい思いをしろ」

思えば京大アメフト部時代の経験、そしてテレビ局に入ったばかりの25、6歳の頃、ADとして雑用や人のやりたがらない仕事をとことんした経験があるからこそ、いまの生活ができているのだと感じています。

冒頭にも述べたとおり、コンテスト終盤、トップとは大きな差がありました。

「できるかできないかではなく、やるかやらないか」

水野監督の言葉を胸に、最後は自らを〝二者択一〟へと追い込んでいきました。「あと一件訪問するのと、会社に戻るのと、あと一本電話するのと、明日電話するのと、どちらが日本一に近づけるだろうか」。そうやって「一歩余計に」を地道にコツコツ積み上げることに徹していったのです。

そうしてそれらの積み重ねから不思議な縁が生まれ、終盤に差し掛かるにつれて大きな商談が次々と決まっていきました。

最後の最後、まさに〝奇跡〟ともいうべき逆転勝利でした。結果的に、歴代でも記録に残る成績を挙げての優勝となりました。

この一年間で私が最も学んだことは、どんな些細なことにでも〝感謝する〟ということです。家族などの周囲の支え、お客様があって初めて自分がある。電話に出てくれてありがとう、会ってくれてありがとう、と絶えず感謝しながら、一歩一歩歩みを進めてきたのです。

「志は高く、アンテナは高く、頭は低く」をモットーに、これからも一人でも多くの方のお役に立てればと思っています。


(本記事は月刊『致知』2013年10月号 連載「致知随想」より一部抜粋・編集したものです)

◉『致知』2021年11月号 特集「努力にまさる天才なし」には、WBA世界ミドル級スーパー王者・村田諒太さんと金沢景敏さんの対談を掲載。挫折体験をいかに乗り越え、世界の頂点に立ったのか。その努力と挑戦の歩み、一流プロの条件、結果を出す人と出せない人の違いなどを熱く語り合っていただいています。詳細はこちら

 

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