コロナボケ、コロナうつ……気になる不調に「漢方的養生」!

2021年も、残すところあと3か月。気温が安定せず、体調を崩しがちな季節です。一方で、最近になって体のだるさや、頭の働きが悪いことが気になる方もいらっしゃるかもしれません。漢方薬剤師、また漢方ライフクリエーターとして活躍する樫出恒代さんに、誰でも簡単にできる「漢方的養生」のエッセンスを伺いました。

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コロナボケ、コロナうつ その原因は?

〈樫出〉
(長引くコロナ禍で)なぜか最近物忘れが激しくなった、常に体がだるい、昼間から眠くなる、やる気が起きない……。

これらの症状は自分では原因が分かりにくいため余計に不安やイライラが募りがちですが、東洋医学、漢方的な養生の視点で見れば、慣れない生活様式によって心身の「バランス」が崩れていることが共通の原因として考えられます。

漢方の基本的な考え方の一つに「氣・血・水」の循環があります。簡単に言い換えれば氣は元気やエネルギーの巡り、血は体の栄養や酸素、血の巡り、水は体の潤い、水の巡りを指します。この三本柱が互いに助け合い、補い合ってバランスが保たれていることが、健康の一つの指標になるのです。

コロナ鬱やコロナボケに限らず、人の体に表れる様々な病気は、この三本柱のいずれかが堰(せ)き止められ、バランスが崩れることで発症するとも言えるでしょう。

日常生活の大きな変化の一つにマスクの着用があります。コロナボケ・コロナ鬱の症状として挙げた、だるい、物忘れ等が現れる主な原因として言われているのが、マスクの長時間着用による酸欠です。学校や職場、移動中はもちろん、最近では家庭内感染を避けるため家でもマスクを外さない方もいるそうですが、一日中口を布で押さえていれば酸欠になるのも無理はありません。

マスクの中に篭った呼気を吸い続けることで何が起きるかといえば、血中の酸素濃度の減少、すなわち「氣・血・水」の血の停滞です。さらに、酸素が足りなくなると頭が十分に働かなくなり、頭痛や吐き気、眠気が催されます。このように、マスクをし続けることでまず血が巡らなくなり、次第に元気(氣)がなくなり、最後は水の巡りも妨げられ、健康的なバランスが失われていくのです。

マスクが「氣・血・水」の循環に及ぼす影響はこれだけではありません。それは嗅覚の遮断です。私たちは知らず知らずのうちに、日々の中で多様な匂いを感じ取って生きています。

道を歩いていてふとおいしそうな料理の匂いがした時、または新緑の香りが鼻を掠めた時、「あぁ、いい匂い」と瞬間的に感動したことが誰しもあるはずです。嗅覚は脳と密接な関係にあり、鼻から様々な匂いが入ってくることで、脳は活性化されています。マスクをするとこの反応が遮られて脳が鈍感になり、物忘れ等の症状が表れてくるのです。

「食養生」と「香り」を生活に取り入れる

では、どうすればこれらの症状を防げるのでしょうか。こまめな換気や深呼吸、屋外で人のいない場所ではマスクを外して酸素をたくさん吸い込む、家に帰ったらお風呂に入って血の巡りをよくするといった習慣はもちろん有効です。

食を通じて心身を癒(い)やす漢方的食養生の観点からは、「氣」を充実させる食物である芋類や豆類、牛肉などを摂ると効果的です。旬の食材も大いに取り入れるとよいと思います。そして、体を冷やさないためにもやはり火を通して料理することが大事です。

暑さの残る時期には、薬味としてよく知られるシソの葉やミョウガ、擂り下ろした胡麻、生姜などを積極的に取り入れましょう。ティータイムにはハッカやシナモン、ミカンの皮といった漢方食材を使用したお茶を飲むと、リラックスできるはずです。香りを嗅ぐことで気分がよくなり、脳が活性化します。さらに、いい香りは自然と深く吸い込みたくなるため、酸欠の予防にもってこいなのです。

漢方には「氣・血・水」の他に「陰・陽」の考え方があります。いずれもそのバランスが重要になるわけですが、生活に香りを取り入れる上で大事なのは、自分が嗅いだ時に心地よいと感じる、つまり体内の陰と陽のバランスがとれる香りを見つけることです。その香りを身にまとったり、持ち歩くこともよいと思います。

それは例えばアロマテラピーで、お気に入りのブレンドを見つけるのも楽しいです。香りの好みは人それぞれ、体質によっても様々ですが、男女問わず特に人気が高いのはラベンダーです。ラベンダーはリラックス効果と活力を与える効果の両方を持っているため、朝起きた後でも夜寝る前でも、いつ嗅いでもよいでしょう。

頭をすっきりとさせるグレープフルーツやユーカリの爽やかな香りと、甘さの強いイランイランの香りのブレンドなどは、陰と陽のバランスもよく、私も好きな香りです。まずは嗅いだ時に心地よい、好みの香りを見つけることです。自分と相性のよい香りを見つければ、いつも自分を元気づけてくれるパートナーになります。

自分の好きな香り、香りのある食材や旬の食べ物などで力を得て、日々を元氣に過ごしましょう。


(本記事は月刊『致知』2020年10月号 連載「大自然と体心」から一部抜粋・編集したものです)


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◇樫出恒代(かしで・ひさよ)
漢方薬剤師・漢方ライフクリエーター。新潟薬科大学薬学部卒業後、一人ひとりの心と体に丁寧に向き合う「漢方カウンセリング」を提唱。平成22年、漢方カウンセリングルームKaonを設立。現在、Kaon漢方アカデミー代表も務める。美容家の吉川千明氏との共著に『内側からキレイを引き出す 美肌漢方塾』(小学館)がある。

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