日本の政治の決断が遅れる原因|国際情勢を読む「4つの要諦」を忘れるな(中西輝政)

激しく揺れ動く国際情勢。月刊『致知』の連載「時流を読む」でそれを独自の視点で読み解く京都大学名誉教授・中西輝政さんは、政治、外交、経済を見る上での要諦を示されています。国際情勢を読み解く大切なポイントとは――?

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日本のリーダーに足りないもの

日本の政治とメディアの未成熟さの背景について述べておきたいことがあります。
 
昔から、政治・外交上の優れた知恵を大切にしてきたイギリスでは、世界の政治や外交、経済の動きを正しく見る場合、「4つの要諦」があると言われてきました。
 
第一に物事の動きはできるだけ早く見つけること。

二つ目には、見つけたら、なるべく時間をかけておもむろに行動すること。

第三に、交渉の局面に入ってくると、常に粘り強く主張し、それでいて時至れり、となれば、行きがかりを捨てて潔く譲歩すること。この四つです。

日本で政治・外交上の決断や行動の選択が遅れる原因は、得てして日本人の慎重さが災いすることも多いのですが、それだけではありません。それ以上に重要な問題として、情報の収集力、分析力、つまり国や企業でいえば、インテリジェンスの能力が著しく欠落していることが挙げられます。

集団や組織のリーダーは時代の局面を敏感に読みながら、当面の問題には堅実で的確な手を打ちつつも、状況の変化によっては時に自説を覆してでも柔軟に対応していく力が求められます。

そして、その鍵を握るのがインテリジェンス能力なのです。

歴史上の優れたリーダーたちが国を揺るがす出来事に遭遇しながらも、それを見事に乗り越えていくことができたのは、何をおいても情報への敏感さと判断の柔軟さによるものであり、その陰で正しい判断を得るために情報収集に人一倍エネルギーを割いていたのです。

大変残念ながら、政治家に限らず現代の日本のリーダーたちのインテリジェンスに対する、この「生きるか死ぬか」というほどの意識は極めて希薄であると言わざるを得ません。


◉月刊『致知』2021年7月号 ピックアップ記事◉
中西輝政さんにご登場いただきました!
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新型コロナウイルスのパンデミックは、高度な先端技術と豊かな経済力を誇る我が国の脆さ、危機管理力の欠如を浮き彫りにした。
一方、国際社会に目を転じれば、コロナ禍にあってアメリカやヨーロッパ諸国を中心に中国包囲網が形成されるなど自由社会の結束が一段と高まっている。
そういう激変の中で日本はどういう役目を果たせばいいのか。
世界、そして日本の闇を破る一灯はあるのか。
大局的視野で時流を捉える櫻井よしこ、中西輝政両氏に語り合っていただいた。


(本記事は月刊『致知』2017年12月号 連載「時流を読む」より一部を抜粋・編集したものです)


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◇中西輝政(なかにし・てるまさ)
昭和22年大阪府生まれ。京都大学法学部卒業。英国ケンブリッジ大学歴史学部大学院修了。京都大学助手、三重大学助教授、米国スタンフォード大学客員研究員、静岡県立大学教授を経て、京都大学大学院教授。平成24年退官。専攻は国際政治学、国際関係史、文明史。著書に『国民の覚悟』『賢国への道』(ともに致知出版社)。その他、『情報亡国の危機』(東洋経済新報社)『情報を読む技術』(サンマーク出版)、編著に『インテリジェンスの20世紀』(千倉書房)、訳書に『ヴェノナ』(PHP研究所)などがある。

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