出逢いとは不思議なもの ~青山俊董さんの忘れ得ぬ出来事~

味わい深い仏法説話で知られる曹洞宗の尼僧・青山俊董さん。月刊『致知』2018年2月号では、青山さんの心に残る、ある少女との思い出について語られています。ぜひ味読ください。

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「33年前に合掌をさせていただいた者です」

〈青山〉
悲しみ、苦しみは「アンテナを立てよ」という仏様からのプレゼントだと私は思います。アンテナさえ立てていれば、必要とする人や物事に瞬間にでも出会えるし、立てなければ生涯一緒にいたって真に出会うことも、そこから教えを得ることもない。

そういう意味で、私の心に残っている出会いを一つご紹介しましょう。随分前になりますが、奈良へお話をしに行った時に、ちょっと時間が取れたので久々に法隆寺を訪ねたんです。古い塀に沿って南大門のほうへ歩いていると、小学校の修学旅行生たちの集団が急ぎ足で私を追い越していく。

不意に一人の女の子が列を抜けて、私に丁寧に合掌をして頭を下げてくれたんです。「あっ!」と思って、咄嗟に私も合掌をお返ししながら思ったんです。

「昔から“親の言うとおりにはならないが、親のするとおりになる”と言われてきたが、どういうご家庭で育った娘さんだろう。法隆寺へ来て、この娘さんに会えてよかったな」と。

法隆寺は1,500年の歴史を持っておりますが、どちらかといえば過去形。いまの娘さんの合掌は瞬間ではあっても生演奏ですからね。大変印象に残ったものですから、後に私の法話をCDにする際に、そのことにも触れました。

そうしたら、あれはいまから何年前になりますかな、講演会でお話をして会場を出たところで、40代くらいの奥様が眼にいっぱい涙を溜めて握手を求めてこられて、

「33年前に、先生に法隆寺で合掌をさせていただいた者です。ずっとお目にかかりたいと念じておりました」と。

もうびっくりしました(笑)。

 〔中略〕

たまたま雑誌の連載記事で私のことを知って、CDを求めて聴いたらその話が出てきたので、「これ私っ!」って躍り上がったっていうんです。

あの時、南大門の前を皆で移動していると、一人の尼僧が歩いていて、七色に輝いて見えたと(笑)。追い越してはいけないと思ったけど、一人止まるわけにもいかないので、「すみません、お先に失礼します」という思いで合掌をしたら、にっこり微笑んで合掌を返された。

そのお顔をしばらく拝んでいたいと思いつつ、心を残して走り去りました。それから30年、ずっとずっとずっとお会いしたいと念じ続けておりましたと言うんです。

その方はいま、国際的なフルート奏者として活躍なさっていますが、まさにアンテナが立っていた。それから33年再会を願い続けたということ。願いの相続です。それによって見事に再会が果たされた。出会いというのは本当に不思議なものですね。


◉『致知』2021年6月号に青山俊董さんがご登場!!◉
「道は足下にあり」というテーマで
いまを生きるための禅の教えを
噛み砕いて語っていただきました。


(本記事は月刊『致知』2018年2月号 特集「活機応変」より一部を抜粋・編集したものです)

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