松下幸之助は、戦国三英傑の「ホトトギス」の句をどう詠んだか

「経営の神様」として世界的に知られる松下幸之助。その薫陶を受けながら、松下電器産業(現・パナソニック)の本社経営企画室にて、本社事業計画をはじめ主要商品プランニングを担当、現在は経営コンサルタントとして広く活躍しているのが中博さんです。中さんは、織田信長はじめ3人の戦国武将が詠んだ「ホトトギス」の句を、松下幸之助は独特の解釈で捉えていたと語ります。

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松下幸之助に学んだ「融通無碍」の精神

〈中〉
幸之助さんがよくおっしゃっていたのは、人生においても、経営においても、自らの人間力や経営理念といったしっかりした足腰、土台をつくるとともに、何事にも「融通無碍(ゆうづうむげ)」の柔軟な精神で対処していくことの重要さです。

幸之助さんは、信長や秀吉、家康の「ホトトギス」の句について、

「ホトトギスを鳴かせることに拘るから殺せとなる。でも、拘(こだわ)らなかったら鳴かんでもいいでしょう? 鳴かずんばそれもまたよしホトトギス」

とおっしゃっていますが、これなどまさに融通無碍の精神そのものです。

幸之助さんがおっしゃったように、移り変わる四季や様々な自然災害の中で生きてきた日本人には、環境の変化に柔軟に対処していく精神性が備わっています。公害が社会問題になった時にも、日本は世界に先駆けて世界一の省エネ技術を生み出しました。

日本精神を取り戻し、世界に冠たる製品を

そして、私自身が松下電器の現場で学んだように、日本人にはコップ一つつくるにしても、どうすれば快適に暮らせるか、人が幸せになれるかという、優しさや微小なものへの美意識、自然に共感する心があります。この心は本居宣長や小林秀雄がいった、「大和心」「もののあわれ」にも通じるといってよいでしょう。

そのような融通無碍の精神性や大和心を、日本人がいま一度取り戻し、先端技術に挑戦していけば、アメリカや中国とは違った、世界に冠たる経営、製品を必ず実現できるはずです。

 実際、いま世界的なIT企業が、こぞって経営に取り入れているのは、MBAではなくて、マインドフルネス(瞑想)といった日本人の知恵、考え方なのです。


(本記事は月刊『致知』2018年3月号 連載「致知随想」より一部を抜粋したものです)

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【著者紹介】
◇中 博(なか・ひろし)
昭和20年、大阪市生まれ。京都大学経済学部卒業後、松下電器産業(現パナソニック)に入社。本社経営企画室にて、本社事業計画をはじめ主要商品プランニングを担当。また、関西経済連合会に若くして主任研究員として出向。その後数々の話題を残したビジネス情報誌「The 21」創刊編集長を経て独立、経営コンサルタントとなる。現在は、経営コンサルティングを務めるとともに、若手経営者を育成する「中塾」を主宰。


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