「落ちるからこそ、いい作家になれる」——日本を代表する女流画家・片岡球子の言葉

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片岡球子の絵は、片岡球子の絵でなければならない

思い直して中島清之先生(院展院友)のお宅へ戻り、落選を告げると、先生はいきなり「落ちるそ、いい作家になれるんだ。 その味を忘れちゃいん」と、怒鳴るようにおっしゃって、う続けられまし「僕はある人に前々ら言われてるんだ。片岡は最後まで残るのに、 いつも最後の審査で落選している。あれじゃあんまりわいそうだ。君についているそうだが、 何と激励してやれよ』と。し片岡さん、僕は考えるんだ。僕がもしも、君の絵に、僕の意見を言っり、手を入れとしら、君はもう君独自の君流の絵は描けなくなる。

君一人で絵は描けなくなるんだ。片岡の絵は、片岡の絵でなければならない」。のお言葉は忘れるとができません。人が3年でなる院友に、私は10年もりましその3年後のとですが、院展研究会に大観先生ら「雄渾」という作品画題が出されましその時、ねてら描きいと思っていモデルを思い浮べまし横浜の上大岡という所に住んでいる行者で、渡辺万歳という人です。金持ちの大農家の当主でしが、目はランランと輝き、口は大きく、さらに大きなあぐら鼻を持っ不動尊そっくりな行者でし

早速行者を訪ね、モデルになってほしいと告げると、「よし、そんなに描きいのなら、寒の入りら21日間、二足四足(鶏と獣肉)を断ち、朝は10時に卵1個、昼夜は菜食。夜中の正二時に水行を続けら、モデルになってやろう」と言います。学校で教えながらの行です。終わり頃には足がふらついて困りましが、とにくやり遂げて行者を訪ねていきましすると、私が一言も言わないのに、無言で私を護摩壇の前に連れて行きまし

燃えさる炎の前で、行者はあぐらをいて座り、紅蓮の炎に照らし出される行者の顔は、鬼気迫るものでしの絵が小林古径先生の目に留まり、二等賞になりましそして、古径先生のお宅に呼ばれのです。まず「今回の絵は良 あの勉強の仕方でいいら、 一所懸命に勉強をしなさい」と言われまし。そして、「あんの絵はゲテモノだって有名だ。本当にゲテモノだ。だけれども私は言っとくけど、ゲテモノやめちゃいけない。ゲテモノでいいんだ。ら人に何て言われても、それをみんな自分の栄養だと思って、腹の中に入れときなさい。自分の主義主張を、曲げないで、ゲテモノをずーっと続けて、20年、30年、40年と経っていくうちに、あんの絵が変わってくる。変わってきらしめもんだ。本物の絵描きになれる、私の言うとはちゃんと守りなさい」と、そういうふうに言われまし神様が会わせてくださっいです。

私は終始、先生の目を食い入るように見つめ、全身を耳にして聞きましよ。一語、一語、肝にしみ通るようでし自分が間違いなく、駄目な絵を描いているのだな、と思い知りましそれと共に、のまま描いていきなさいという先生のお言葉に、いだい二等賞のともあり、心の片隅にほんの芥粒ほどの膨らむものを感じまし


(本記事は『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』より一部を抜粋・編集したものです)

◇片岡球子(かたおか・たまこ)
1905年生まれ。日本を代表する女流画家。強い個性で日本的イメージを鮮烈な色彩で大胆に表現する。1989年には女性で3人目の文化勲章受章。愛知県立芸術大学名誉教授。2008年永眠。

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