人生のターニングポイントは母の愛。アチーブメント創業者・青木仁志を奮い立たせた体験

17歳の時に裸一貫で上京し、幾多の山坂を越え一代で日本を代表する人材育成コンサルティング会社・アチーブメントを築いた青木仁志さん。自らの経験を基に、これまで延べ40万人以上の人材育成に従事してきた青木さんに、その原点ともなる貴重なエピソードを語っていただきました。

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母に教わった人生と仕事の原点

〈青木〉
17歳の時に溶接工見習いとして社会人のスタートを切った私が、32歳で人材教育コンサルティング会社を設立し、30年以上が経ちました。

1991年に始めた「戦略的目標達成プログラム『頂点への道』講座」は28年間毎月欠かさず開催し続け、2019年末で700回目を迎えます。本を出すという夢も叶い、これまで57冊を出版。累計発行部数は80万部を超えました。

特別な能力も恵まれた環境もなかった私にとり、すべてがゼロからの挑戦でした。それでも夢を叶え続けられているのは、20代でビジネスマンとしての一生の土台を築いていたからに他なりません。

「人間は突然変異で成功者になるのではない。日々小さな成功体験を積み重ねることで自信が生まれ、目標を達成することができる」

これが今年64歳(※掲載当時)を迎えた私の実感です。

私は北海道函館市の貧しい家庭に生まれました。3歳の時に両親が離婚し、父と再婚相手の3人で暮らすようになったものの、継母は私に非常に厳しい「訓練」を課しました。また、生活が安定せず、パンの耳を10円で買って食べる極貧生活を余儀なくされ、私も小学校高学年から新聞配達をしながら家計を支えていました。

しかし、次第に東京にいる実母に会いたいという気持ちが募り、遂に17歳の春に高校を中退し家出を決行。フーテンバッグを片手にアルバイトで貯めたお金をポケットに入れて、青函連絡船に乗り込んだのです。住み込みで働ける仕事を友人に紹介してもらい、履歴書が不要だった東京八王子市の鉄工所で働き始めました。

その年の夏のことです。ある女性が私を訪ねて会社にやってきました。

「仁志、本当に仁志かい?」。

涙を浮かべたその女性は何と実母でした。私が祖父宛てに出した手紙の消印が八王子であったことを手掛かりに、八王子にある鉄工所を一軒一軒探し歩いて、私を見つけ出してくれたのです。

これが私の人生において大きなターニングポイントとなりました。もしこの時に母の愛を知ることができていなければ、全く違う人生になっていたことでしょう。

向上心が服を着て歩く

その後は母に引き取られ、母と共に喫茶店を始めることになりました。その喫茶店の仕事を通じて出逢ったのが、高級日用品雑貨を販売する会社のある社長です。私はその方の立ち居振る舞い、考え方などに強く惹かれ、弟子入りする形で雇ってもらいました。

18~20歳という多感な時期に、鞄持ちとして本当に貴重な経験を積むことができました。香港出張にも20回近く随行する機会を得、ビジネスのイロハ、営業の基本を叩き込まれたのです。

何よりもありがたかったのは、きちんとした教育を受けてこなかった私に、礼節を一つひとつ丁寧に教えてくれたこと。例えば喫茶店で食事をする際、こんなことがありました。

「仁志、お前は何を食べるんだ」

「社長は何を食べるんですか?」

「俺はハンバーグライスにする」

「じゃあ、社長と同じでいいです」

そう答えたところ、

「馬鹿もん! 奢ってもらうのに目上の人と同じというのは100年早い。ワンランク下げろ」

と叱られ、サンドイッチを注文したのを克明に覚えています。他にも箸の持ち方など、非常識な私を一から教育し直してくれました。

身に余るほど目を掛けていただきましたが、いま思えばその最大の理由は相手に喜んでもらいたい一心で、鞄持ちに徹し切っていたからでしょう。そうした私の姿勢を評価して、起業を勧めてくれました。そして20歳前半で高級日用品雑貨を販売する会社を設立したのです。

当時の私には、大きな志や夢があったわけではありません。ただ、貧乏な家庭で苦労した経験から、お金持ちになりたい、成功したいという気持ちが人一倍強かったのは確かです。そのため長時間労働が全く苦ではありませんでした。

また、向上心が非常に強く、ナポレオン・ヒルの『成功哲学』、サミュエル・スマイルズの『自助論』、デール・カーネギーの『人を動かす』、ハロルド・シャーマンの『信念の力』など、自己啓発書を読み漁っていました。

20代の頃のノートがいまでも手元にありますが、そこには「ちっぽけな自分に勝つ」「誠実たれ」など、自分を鼓舞する言葉が溢れんばかりに綴られています。向上心が服着て歩いていたと表現できるほど、ハングリーでした。


本記事は月刊『致知』2020年1月号 連載「20代をどう生きるか」より一部抜粋・編集したものです)

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覚悟からすべては始まる――。史上最年少(当時)での上場を成し遂げた情報通信業界のリーディングカンパニー・フォーバル創業者の大久保秀夫さんと、どん底の時期を乗り越える鍵となった〝覚悟〟について語り合っていただきました!

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◇青木仁志(あおき・さとし)
昭和30年北海道生まれ。10代からセールスの世界に入り、国際教育企業ブリタニカ、国内人材開発コンサルティング企業を経て、6232歳でアチーブメントを設立。平成22年から3年間、法政大学大学院政策創造研究科客員教授として「経営者論特講」の講座を担当。著書は30万部のベストセラーとなった『一生折れない自信のつくり方』(アチーブメント出版)シリーズをはじめ57冊ある。

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