【足立区給食革命物語】近藤やよい・足立区長の挑戦

日本一おいしい給食を目指す――。2007年に東京都の足立区長に就任した近藤やよいさんは、選挙時のマニフェストに給食の改革を掲げた。区全体を巻き込んだ「おいしい給食」運動の旗手となった近藤さんに、食と学力、健康の関係について語っていただきました。

お年玉キャンペーン開催中!!1/1(火)~1/8(火)まで
新年の決意を胸に、人間力・仕事力を高めたいという方はぜひこの機会に月刊誌『致知』の定期購読をお申込ください。期間中に新規でお申込いただいた方に限り、お年玉として素敵なプレゼントをご用意しております。【詳しくはこちら】

給食が子供たちの食生活の最後の砦

――「おいしい給食」事業を展開してこられて、具体的にはどのような変化がありましたか。

〈近藤〉
数値で言うと、始めた当初、小学校で9㌫、中学校で14㌫だった残菜率が、2013年にはそれぞれ3.7㌫、7.7㌫にまで減りました。381㌧だった生ゴミが186㌧まで減って、金額に換算すると約7千万円分の食材が無駄にならずに済んだことになります。

――7千万円は大きいですね。

〈近藤〉
それだけでなく、子供たちの肥満傾向にもブレーキが掛かり始めて、中学1年生男子の肥満傾向者の割合率が07年の4.56㌫から12年は2.71に、女子は3.02から1.30に下がり、それとともに血糖値なども下がって糖尿病予備軍の数値も減少傾向にあります。

また、2013年の小学校の体力・運動能力についてほとんどの項目で過去最高値を記録しました。

これは給食が直接の要因とは言い切れませんが、東京23区ワーストワンと言われてきた学力面でも、2013年の学力調査では区内の小学校の平均が都の平均に近づき、ワーストワンは脱出できました。

――顕著に成果が表れていますね。

〈近藤〉
足立区は学力面だけでなく、治安や貧困、健康でもワーストワンと言われ続けてきた中で、一昨年は37年ぶりに犯罪認知件数が1万件を下回り、こちらもワーストワンの汚名を返上できました。

これはもちろん、給食以外での取り組みの効果も大きいのですが、基本的には「教育」「治安」「貧困」「健康」の4つの課題はそれぞれ独立しているのではなく、連鎖していると思っています。

――どれか一つに楔を打ち込むことができれば、一緒に改善されていくと?

〈近藤〉
例えば、足立区は他区より生活保護率や就学援助率が非常に高いんですね。しかもそれが2世代、3世代と続いてしまう傾向にあります。人は生まれる家は選べませんが、小、中学校時代に健康な心身を手にすることができれば、その先は自分で未来を切り開いていく基本ができると思うんです。

給食は1年間で198食、子供たちの3食のうちの1食を担っています。それが充実しているということは非常に大きな意味を持っています。

栄養士さんから聞いた話では、担任の先生が「家庭でもお子さんに野菜をたくさん食べさせてくださいね」と言ったところ、「うちは毎日ポテトチップスを食べさせていますから大丈夫です」と答えたお母さんがいるといいます。

――そこまで食生活が崩壊している家庭があるのですね。

〈近藤〉
事情がある家庭だけでなく、いま普通のご家庭でも両親が共働きで、1から手づくりの食事を出すことは難しいのが現状です。手間を掛けてつくってあげたい気持ちはあっても、時間が許さない。だからコンビニやスーパーの出来合いのものを出したり、ファミレスで済ませてしまう。

しかし、そういう食事は味が濃く、それに慣れてしまうと天然の出汁などはうすくてまずいと感じるそうです。ですから、始めた頃に栄養士さんたちに言われたのは「濃い味に馴染んで育った子供たちに、出汁からつくった給食をおいしいと思って食べさせるのは無理だ」ということでした。

そういう現状だからこそ、給食で子供たちにしっかりと栄養を摂ってもらうと同時に、本物のおいしさを知ってもらいたいと思いました。

――給食が子供たちの食の最後の砦なのですね。

〈近藤〉
……口幅ったい言い方になりますが、いま足立区の栄養士、学校現場が子供たちの食の部分を給食によって必死で支えている。そう言っても過言ではないと私は思っています。

(本記事は『致知』2014年12月号より一部を抜粋・編集したものです。『致知』には人間力・仕事力を高める記事が満載!詳しくはこちら

近藤やよい
――――――――――――――――――――――――
こんどう・やよい――昭和34年東京都足立区生まれ。青山学院大学大学院経済学博士前期課程修了。58年警視庁女性警察官に。その後、税理士、東京都議会議員を経て、平成19年足立区長就任。

人間力・仕事力を高める記事をメルマガで受け取る

その他のメルマガご案内はこちら

『致知』には毎号、あなたの人間力を高める記事が掲載されています。
まだお読みでない方は、こちらからお申し込みください。

※お気軽に 1年購読 10,300円(1冊あたり858円/税・送料込み)
※おトクな3年購読 27,800円(1冊あたり772円/税・送料込み)

人間学の月刊誌 致知とは