鈴木大拙氏の願い


東洋思想を西洋人に伝えようと
鈴木大拙氏がアメリカに
渡ったのは79歳の時でした。

以来、88歳まで
この活動は続きます。

大拙氏はどのような思いで
アメリカに渡ったのでしょうか。

───────「今日の注目の人」───

上田 閑照(京都大学名誉教授)
   ×
岡村美穂子(大谷大学元講師)

※『致知』2017年6月号
※特集「寧静致遠」P18

───────────────────

【岡村】 
大拙先生が
東洋思想を西洋人に伝えるために
再びアメリカに渡られたのは
昭和24年、79歳になられた時でした。

実に88歳になるまで
海外の世話を続けられるわけです。

その事実一つを取り上げただけでも
先生の誓願、願いが
いかに強いものだったかが
よく分かりますね。


【上田】 
先生は西洋に東洋思想を伝えることが
どういう意味を持っているのか、
ということを
はっきり自覚して
おられたのだと思います。

美穂子さんがおっしゃったように、
西洋社会に東洋思想を
浸透させることによって
東洋や西洋というものを超えて
世界が本当の平和な世界になる。

そこで初めて一人ひとりの人間が
本物になることを
はっきり見ておられたのでしょう。

大拙先生は禅の道を歩みながら
大乗仏教や老荘思想など
東洋の精神的伝統を体現して
いかれたわけですが、
若い頃から海外で活動され、
41歳の時にアメリカ人女性と
結婚されています。

ある意味で東洋と西洋を
真に自分に親しい
世界とすることのできた稀な世界人で
いらっしゃったのではないか、
と思います。
 
その先生の「願」は
東洋の真の意義を探究して、
それを世界のために
実現していくところにありました。

言い方を変えれば、
先生は大乗仏教でいう
大慈大悲を現代社会の中で
実践していかれたと
言えるかもしれません。


【岡村】 
そういえば、大拙先生は晩年、
精神医学の会合などで
お話しされる場合、
東洋、西洋ということには
お触れにならず、
人間が二本足で立ち上がって
どうなったのか、
という話をされていました。

大昔、四つん這いで歩いていた人間が、
どういうわけか二足歩行を始めた。

そうすると
遠いところまで
見れるようになった。
これはすごいことなんだぞ、
とおっしゃるんです。


【上田】 
四つん這いのままでは、
前は見えませんからね。


【岡村】 
ところが、二足歩行を始めると、
今度は脳みそが
二つに分かれてしまった。


それが……




※人間の進化の歴史を見ていくと、
 どのような仏教の知恵が
 見えてくるのでしょうか。
 続きは本誌をお読みください。

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