たった一度の出会いが人生を決めた


江戸時代、『古事記伝』という
大著を書き上げた
本居宣長という人がいました。

その宣長の人生を決定づけたのは
賀茂真淵という国学者との
人生でただ一度の出会いでした。

───────「今日の注目の人」───

☆ 本居宣長の追求したもの ☆

吉田 悦之(本居宣長記念館館長)
   
※『致知』2017年4月号【最新号】
※特集「繁栄の法則」P34

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立身出世の物語なら、
ここですべてを捨てて
江戸に行くことになるのですが、
宣長は動きません。
ただ、真淵に会いたいと
いろいろな人に話しました。

伊勢街道が通る松坂は
諸国の人が集まる場所ですから、
真淵が上京する機会があれば
出会えると考えたのです。

宣長の話を聞いた一人に
柏屋という本屋の主人がいました。


ある日、店の客が
賀茂真淵だと知った主人は、
宣長に来訪を告げました。

宣長は宿泊先を訪ねますが、
既に一行は出立していました。

しかし宣長は諦めません。

伊勢方面に向かったのなら
帰りもきっと松坂に寄るだろう。

真淵の年齢を考えると無理せずに
同じ宿に泊まることも考えられる。

そこで宿の主人に、
もし泊まられたら連絡してほしいと
頼んでおいたのです。


数日後の夜、予想どおり
真淵一行が戻ってきて、
対面は叶いました。
紹介状も持たずに訪ねた宣長を、
真淵は温かく迎えてくれました。
本居宣長34歳、
賀茂真淵67歳。

このただ一度の対面が、
二人の人生のみならず、
日本の歴史をも大きく変えたのです。
 
この「松坂の一夜」は
偶然の出会いではありましたが、
そこには千載一遇の
チャンスを逃さない宣長の
情報分析力と実行力がありました。

まず数多の学者の中から
真淵を探し出したこと。

次に真淵に会いたいという
願望を人に語り、
行き違いになっても諦めずに
先の行動を予測したこと。

これらが大きな
成果を生んだのです。
 
もう一つ、宣長には
大切な準備作業があったはずです。

それは……




※真渕との出会いによって
 宣長の人生はどう
 変わるのでしょうか。
 そして『古事記伝』誕生の経緯とは。

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