聴覚障碍者・田村聡さんの山への挑戦


昨年5月に聴覚障碍者では、
世界初となるエベレスト登頂を
果たした登山家・田村聡さん。

そんな田村さんのプロ登山家
としての心構えを尋ねました。

───────「今日の注目の人」───

田村 聡(登山家)

※『致知』2017年10月号【創刊記念号】
※特集「自反尽己」P52

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──これまで数々の挑戦を
  してこられた中で、
  いつもどんなことを
  心掛けてこられましたか。


やはり基本は、
日頃の生活が大切だと思います。

普段から心配の芽を摘んでおき、
気持ちをきちんと整えることですね。

あとは少しの勇気を持って
挑戦する気持ちを持ち続けること。

そうすれば、必ず道はひらけると
思って私はやってきました。



──少しの勇気を持ち続ける。


そうです。山は決して甘くはありません。

だから自分というものを
しっかり理解して、そのレベルを
超えるような挑戦は
しないようにしてきました。

それとどんな山に挑戦する時も、
その山のことをしっかり頭に入れて、
安易な気持ちでいるのではなく、
畏れを持つ。

山に登るんだという
厚かましい態度ではなく、
登らせていただくという気持ちで
山と向き合ってきました。

山には危険が至るところにあって、
いつ何が起こるか分かりません。

これまで多くの登山家が
命を落としてきただけに、
そういった心構えが
私は大切だと思っています。

そういった意味では、
私には耳が聴こえなくても、
聴こえる人となんら
変わらないという気持ちでいます。

とにかく山は経験を
積むことが一番なので、
少しずつ経験を積んでいく。

そうすることで自分の
技術の範囲が少しずつ広がって、
その結果としてだんだんと
難しい山にも挑戦することが
できるようになっていきました。

それに、もっと言えば、
障碍のあるなしという
こととは関係なしに、
命は一つだけという思いが
私には強くあります。


──命は一つ。


ええ。その一つの命を
生かすにはどうするか。
そのことを常に考えていれば、……




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