2018年04月21日
ハワイには「ホ・オポノポノ」と呼ばれる伝統的な問題解決の秘法があります。「ありがとう」「ごめんなさい」「許してください」「愛しています」という4つの言葉を唱えることで、自分の潜在意識に溜まった記憶がクリーニングされ、目の前の問題が解決されていくというのです。問題解決の鍵は外ではなく自分の内にある、というのが「ホ・オポノポノ」のユニークな考え方。世界中を飛び回ってこの秘法を伝える心理学博士イハレアカラ・ヒューレンさんが来日した折にお聞きしたお話は、実に興味深いものでした。
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「ホ・オポノポノ」ってなに?
ハワイ語で「ホ・オ」は目標、「ポノポノ」は完璧。つまり「ホ・オポノポノ」とは、完璧を目指して誤りを正すという意味になるんです。
もともとは、関係者が集まり、一人の指導者を中心として、徹底的に議論しながら問題解決の方法を探っていました。それが近年になって、誰もが自分一人でできる「セルフ・アイデンティティ・スルー・ホ・オポノポノ」に発展しました。
考案したのが、私にそれを教えてくれたハワイ州官モーナ・ナラマク・シメオナという女性です。私は彼女と出会って以来、このホ・オポノポノの素晴らしさを実感してきたんです。
最初に知らないといけないのは、私たち人間はもともとピュアな存在だということです。このピュアな状態こそが、ブッダが常に言った悟りの境地なんですね。
この世界には68億の人がいますけれど、ピュアでない人は一人もいません。そこで生きていく上では、どんな時も自分らしくいることが、とても重要になります。
自分らしい生き方をしていない状態というのは、例えば、こういうことです。
(ヒューレン博士、黒色の板に向かって懐中電灯を照らされる)
ご覧のように板が光を閉ざしているわけですね。この状態のままでは心も体も病気になってしまいます。ところが、光を閉ざす障害物を取り除くと……。
(今度は透明の板に向かって懐中電灯を照らされる)
光はなんの抵抗もなく、その物体を通過していくでしょう。このように、ホ・オポノポノは問題となっている事柄をとても簡単に手放して神様にお任せしてしまう、ピュアな自分を取り戻していくという解決方法なんです。
仕事でも生活でもいろいろな問題にぶつかりますね。でも、その問題というのは外にあるのではなく、すべてあなたの記憶の中にある。手放さなくてはいけないのは、その記憶なんです。問題解決の具体的な方法をお話しする前に、まずはそのことをきちんと押さえていただかなくてはいけません。
もし、会社を経営されている方が仕事がうまくいっていないとしますね。そういう場合、経営をおかしくしている問題を外に求めがちです。
でも本当は問題は記憶を保管している潜在意識の中にあるんです。その潜在意識に向かってホ・オポノポノを行って記憶を手放すと、インスピレーションが下りてきて、会社本来の完璧な状態として表れてきます。
過去の記憶を消去する方法
目の前の出来事の原因は外ではなく、自分自身にあるというお話をしましたね。問題で悩むということは、ある意味、記憶と葛藤したり、抵抗したりしている状態です。その出来事が、自分の中のなんの記憶が原因で起きているかは分からないけれども、
「ありがとう」
「ごめんなさい」
「許してください」
「愛しています」
という4つの言葉で向き合うわけです。すると、神聖なる存在が光を通して消去してくれます。
ただ、その言葉を口に出して(あるいは心の中で)唱え続けているだけで、自然と問題の原因となっている記憶は消去されます。そうすると、必ずしもその方が期待していることではないかもしれませんが、問題は解決し、本来のその人に戻れるのです。
その人がカメラマンであれば、神聖なる存在から直接インスピレーションを受けてカメラマン本来の役割を果たすようになります。
クリーニングの方法としては、アメリカで紹介されているだけでも80から90種類ありますが、この4つの言葉を口にするのが一番簡単な方法です。
クリーニングを続けていると……
私のセミナーに、乳がんがソフトボールくらいの大きさになった患者さんがお見えになったことがあるんです。4か月後にMRIで検査したら、がんがすっかり消えていたという体験発表がありました。その人は何も考えないで、ただ自分の記憶に4つの言葉を言い続け、クリーニングしていただけです。
どん底に落ち込んだ人の中には、自分で自分の記憶をクリーニングできない人もいます。そういう時、そのことを見たり聞いたり、何かしらで体験している周囲の誰かがクリーニングを続けていると、その人はどんどん病気などが軽くなっていくんです。
私自身にもこういう経験があります。
私は何年もの間、心理学者としての仕事をしていました。最後に働いたのがハワイ州政府の刑務所なんですけれども、その中には殺人や強姦事件などを起こした精神病患者さんも多くいました。その頃、この刑務所はそういう人でいっぱいだったんです。
それで私は自分に問い掛けました。
「自分の記憶の中の何が、これだけの犯罪者をいま目の前に現させているのだろうか」
と。そしてこの現象は100%自分の責任だと思って自分自身の記憶をクリーニングしていったわけですね。患者さんだけでなく、部屋、スタッフ、土地、すべてに関する自分の記憶をもです。
ですから、私は普通の心理療法士のように直接患者さんに会っていたわけではないんですね。患者さんに「あなたの問題はなんですか」と質問しない代わりに、自分の部屋にある患者さんのファイルを見ながら
「私の中で何が起きているから、彼らが暴れたり怒っているという事実を、私は経験しているのだろうか」
と問い掛けました。そして自分の記憶をクリーニングし続けたんです。朝も昼も晩も、病院にいる時もそれを繰り返しました。
2、3年クリーニングしていたら患者さんたちは次第に落ち着いてきて、拘束服や隔離室を使う頻度が減ってきました。収容者の数もグッと減りました。建物もとても穏やかになりました。
だから、たった一人がクリーニングすればいい。光を通す道をつくってあげたら、皆が自由になっていくんです。
(本記事は月刊『致知』2010年7月号 特集「道をつくる」より一部を抜粋・編集したものです)
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◇イハレアカラ・ヒューレン1962年コロラド大学卒業後、ユタ大学を経てアイオワ大学で教育長・特殊教育ディレクターの博士号を取得して医科大学学長、教育学部助教授に就任。74年ハワイ大学助教授、76年知的障害者ハワイ協会事務局長、83年より87年までハワイ州立病院精神科医スタッフ。83年から国連、ユネスコ、世界平和協議会などでセルフ・アイデンティティ・スロー・ホ・オポノポノに関する講演を行うほか、世界で普及活動。著書に『ウニヒピリ ホ・オポノポノで出会った「本当の自分」』(サンマーク出版)『みんなを幸せにするホ・オポノポノ』(徳間書店)など。