2017年06月16日
比叡山で最も過酷な
「十二年籠山行」。
この修行に入るには、
好相行と呼ばれる行を
満行しなくてはいけないといいます。
宮本祖豊さんの体験を
聞いてみましょう。
───────「今日の注目の人」───
堀澤 祖門(三千院門跡門主)
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宮本 祖豊(比叡山円龍院住職)
※『致知』2017年7月号【最新号】
※特集「師と弟子」P64
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【宮本】
十二年籠山行に入っている
お坊さんのことを
侍真といいますけれども、
侍真の資格を得るには
まず好相行という行を
満行しなければなりません。
好相行は浄土院の拝殿の奥の間で、
『仏名経』に記載されている
3000もの仏様の名前を
一仏一仏唱えながら、
五体投地を行う。
五体投地とは両肘、両膝、額の
五か所を床につける、
仏教で一番丁寧な礼拝の仕方です。
【堀澤】
五体投地をして、
仏様の名前を言いながら立ち上がり、
合掌してまた五体投地をする。
これを3000回ひたすら繰り返す。
【宮本】
元気な時で15時間ほどかかります。
毎日毎日やると疲れてきますので、
次第に食事とトイレと
身を清める時間以外は
お堂に入って、
寝ないでずっと
やり続けるようになるんです。
【堀澤】
まぁ常識的な行じゃないね。
だから普通は
一週間とか期限を設けるわけ。
そうすれば結果が
どうであろうと終わる。
ただ、好相行は
好相(仏様の姿)を
見ないうちは終わらない。
長引いたら何年も続く。
不眠不臥という
非常に過酷な条件で
やらなきゃいけないから、
生半可にはできない。
(中略)
そうやって私は3か月くらい、
約30万回でお釈迦様を見たわけだけど、
あんたの場合は長かったよね。
【宮本】
そうですね。
足掛け3年ほどかかりましたから、
100万回を超えています。
どんどん痩せ細り、
首がガクッと落ちて
上がらなかったり、地面につく
両肘、両膝、額が割れて膿んだり、
目の焦点が合わなくなったり、
三半規管が狂って
平衡感覚が麻痺したり。
終いには……
※宮本さんが苦行の末に掴んだ世界は
どのようなものだったのでしょうか。
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