睡眠研究のパイオニアが教える、一億総不眠時代を生き抜く快眠メソッド③

 

私たちの健康や日々のパフォーマンスに欠かせない睡眠。しかし日本人の睡眠時間は世界的に短く、実に約7割の人が睡眠に何らかの問題を抱えているとも言われます。良質な睡眠を得るためにはどうすればよいのか。睡眠研究のパイオニア・白川修一郎さんにお話しいただきました。(第3回/全3回)

すぐに実践できる快眠メソッド

(白川)

良質な睡眠を得るにはどうしたらよいのか、具体的なメソッドをご紹介しましょう。

もちろん最適な睡眠時間は人それぞれですが、まず図Ⅱから、各年齢に応じてどれくらいの睡眠時間が必要なのかを把握してください。

 

この表は、アメリカの睡眠財団が数多くの信頼できる国際医学論文より睡眠時間の心身への影響をレビューして推奨時間と限界範囲を発表したものです。

例えば26歳から64歳までの大人なら、7~9時間が推奨される睡眠時間で、10時間を超えても、六時間を下回っても心身に悪影響が出てしまうことを示しています。

だいたい自分に必要な睡眠時間の目安がついたら、今度は自分の睡眠状態やそれによる体調の変化を把握するために1週間の「睡眠ダイアリー」を作成しましょう。

眠っていた時間帯、うとうとしていた時間帯、日中の眠気が強かった時間帯を日記のように記録します。それで1週間の平均睡眠時間、睡眠パターン、日中の眠気の混入具合などが分かります。朝の目覚めが辛い、勤務中にうたた寝をしてしまう、休日にいつもより長く眠ってしまうなどの症状はかなり睡眠不足で生活している危険な状況だと認識してください。

さらに、食事や入浴をした時間を記入しておくと、そのタイミングが規則的、適切であったかなども検討できます。また、排便の時間に大きなばらつきがあれば、生体リズムに乱れが生じている可能性や、就寝間際に食事をとっていればその習慣が排便の規則性を乱している可能性を把握できます。

以上のような項目を検討しながら就寝時間を調整し、睡眠不足による症状がほとんど見られないようになれば、それがあなたの能力を最大限に発揮できるベストな睡眠時間だと言えます。

また、睡眠ダイアリーをつけることで、やむを得ず睡眠を削らなければならない際に、自分がどこまで無理できるかを把握することも大切です。

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(本記事は『致知』2016年8月号の記事より一部抜粋したものです)

◇白川修一郎(しらかわ・しゅういちろう)

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昭和24年福岡県生まれ。52年東京都神経科学総合研究所研究員、平成3~21年国立精神・神経センター精神保健研究所老人精神保健研究室長、精神保健研修室長、東京都神経科学総合研究所客員研究員。現在、睡眠評価研究機構代表。医学博士。睡眠研究のパイオニアとして知られ、JR東海などの企業の睡眠教育に携わり、各メディアでも睡眠科学に基づく正しい睡眠法を解説している。著書に『脳も体もガラリと変わる! 「睡眠力」を上げる方法』(永岡書店)『ビジネスパーソンのための快眠読本』(ウェッジ)など多数。

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