SF映画を超えた世界!未来を変える新薬「ナノマシン」



いま、医療の世界で注目を集める「ナノマシン」
想像もつかないような極小レベルの世界で、いまとてつもない研究が進められているのですから驚きです!夢を現実のものとした片岡一則さんの開発秘話。その一端をお届けします

 

 

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未来を変える新薬「ナノマシン」

片岡 一則(東京大学大学院教授)





※『致知』2016年3月号P10


  特集「願いに生きる」

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──現在、片岡先生が開発されている

  「ナノマシン」は世界中から

  注目を集めていますね。



私が高校生の時に

『ミクロの決死圏』という

SF映画が流行りました。


お医者さんとその乗り物を

うんと小さくして血管の中に送り込み、

患部まで行って体の中から

病気を治してしまうと。


そういう映画だったんですね。



元ネタは手塚治虫さんの

『38度線上の怪物』という

漫画だと言われていますけど、

とにかくその映画を見て

結構感動したんです。


私が何を開発しているかというと、

『ミクロの決死圏』

で描かれているような、

血管から体の中の微小空間に

自由に入り込んで、

病気を治療したり

診断したりする極小のマシン。



これを完成させることが

一つの究極の目標なんです

ね。



──半世紀前のSF映画の世界が

  より進化した形で現実に

  なりつつあると。



そうですね。


マシンと言っても歯車を

組み合わせたり材料を切って

貼り合わせる従来の機械ではなく、

いろいろな機能をつくり込んだ

高分子ミセル(集合体)で、

そのサイズは50ナノメートルくらいです。



──50ナノメートルというのは……。


?

50万分の1ミリ、

だいたい髪の毛一本の太さの

1,000分の1と言われていて、

ウイルスと同じ大きさなんですよ。



──想像もつかない世界です。



ナノマシンの第一段階としては、

抗がん剤を内包した高分子ミセル。


これをがん細胞の中心まで運び、

集中的に薬を働かせると。


副作用がほとんどなく、

耐性がんや転移がんにも

非常に高い効果を発揮することが

科学的に証明されているんです。


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『致知』3月号のテーマは
「願いに生きる」


 

 

 



「かくて世紀の偉業は成し遂げられた」

 片岡一則(東京大学大学院教授)
  
 ・  ・  ・  ・  ・


 極小のマシンが体内の病気を診断し、
メスを入れずに治療してしまう――。


 半世紀前、SF映画で描かれた
夢のような世界がいま
現実のものとなりつつあります。


 その正体は、特殊な機能が
組み込まれた高分子の集合体
「ナノマシン」です。


 既に抗がん剤を内包した
2種類の「ナノマシン」は
臨床試験の第Ⅲ相に入っており、
これらは副作用がなく、
耐性がんや転移がんにも
高い効果を発揮する。


 そんな人類の未来を変える
 新薬を生み出した
 東京大学大学院教授・片岡一則さんに、
 これまでの挑戦の軌跡と
 研究開発に懸けた執念と創意を
 お聞きしました。


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